やはりインデックス運用こそが最強と実感

投資

村松一之さん(フォーライクス代表)が書いたnote「米国株の長期投資分析(ベッセムバインダー教授)」が興味深かった。

米国株の長期投資分析(ベッセムバインダー教授)|村松 一之(フォーライクス 代表)
アリゾナ州立大学のベッセムバインダー教授は、これまでに何度か米国株の長期投資の分析を発表しています。例えば大半の個別株が長期的に米国のT-Billのリターンに勝てないなどを、数値で示しているんですが、そのベッセムバインダー教授の最近の発表も...

このnoteでは、アリゾナ州立大学のベッセムバインダー教授の論文を紹介しており、その要点をまとめると以下のようになる。

  • 銘柄数で見れば、累積リターンがマイナスになる銘柄のほうが多数を占める。市場全体で見ると、利益を出す銘柄数よりも、最終的に投資家に損失をもたらす銘柄数のほうが多いという現実がある。
  • その一方で、ごく一部の成功銘柄がインデックス全体のリターンを大きく押し上げている。言い換えれば、市場平均の成長は、ほんの一握りの銘柄の成功によって支えられているということだ。
  • 成功銘柄のリターンは年率10~16%程度に収束する傾向がある。この水準のリターンが長期にわたって持続することで、結果としてインデックス全体のパフォーマンスが安定して上昇していく。
  • ほとんどの銘柄は市場から退場する運命にある。20年以上生き残る企業は全体の18%程度しか存在せず、大半の企業は途中で消滅してしまう。

上記の事実はいくつかの重要な示唆を含んでいるが、個人的に感じたのは、やはり市場平均にベットするインデックス運用こそが、手間とリターンのバランスを考えたときに最強の戦略だと改めて感じた。

まず、インデックス運用は、銘柄選定や分析にかける時間や手間がほとんど不要だ。個別銘柄に投資しようとすると、企業の業績や財務状況を継続的にチェックする必要があり、時間的なコストがかかる。それに対して、インデックスは市場全体に分散投資することで、その手間を省きつつ、長期的に安定したリターンを期待できる。

リターンの観点から見ると、インデックスは確かに個々の銘柄と比べると低成長に見えるかもしれない。しかし、その代わりに長期間にわたって継続的なプラスのリターンを積み重ねることができる。一方で、個別銘柄は大きなリターンを得られる可能性もあるが、逆に低リターンやマイナスリターンになることも少なくない。さらに、多くの銘柄を分散して購入すれば、結局インデックスに近いリターンに落ち着くだろうし、銘柄数を絞れば(自分に優れた銘柄選定の力がない以上)リターンがマイナスになるリスクが高くなる。

実際の経験としても、個別銘柄でプラスのリターンを得たことはほとんどなかった。それに対して、インデックスは安定して大きなリターンを生み出してきた。しかも、インデックスのリターンに最も大きく貢献している銘柄を振り返ると、自分ではまったく注目していなかった企業が急成長していることに気づく。例えば、最近の例でいえば、NVIDIAがここまで時価総額を大きく伸ばすとは想像もしていなかった。

このように考えると、やはりインデックスをコアにした運用戦略は理にかなっている。ベッセムバインダー教授の論文は、その確信をさらに強めるものだった。市場ではごく一部の銘柄が長期的に成功し、それらが全体のリターンを押し上げているという事実を踏まえれば、個別銘柄を選ぶことに労力をかけるよりも、インデックスに投資し続けるほうが合理的な戦略になる。

市場平均を狙うことで、個別銘柄のリスクを回避しつつ、成功銘柄の恩恵を受ける。長期投資を前提とした場合、これが最も確実で効率的な方法だと改めて実感した。

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