インデックス運用は、ここ数年で非常に人気を集めており、推奨する投資家も増えている。ウォーレン・バフェットを筆頭に、多くの投資家がインデックス運用を勧める理由は、その手間の少なさにある。個別銘柄の選定にかかる労力を省き、市場全体に投資することで効率的な運用が可能になるのである。
まず、全世界インデックスや米国市場が今後も成長を続けると考えるなら、オルカン(全世界株式インデックスファンド)やS&P500に定期的に投資するのが基本戦略となる。全世界インデックスは、年間で平均7%程度のリターンを期待できると言われており、この成長率は、約10年で投資資金が2倍になることを意味する。
世界のGDPが10年で2倍になることは現実的ではないが、世界の主要企業の時価総額が2倍になる可能性は十分に考えられる。特に、米国市場ではインフレが進む中で企業の収益も増加しており、長期的な成長は非現実的な期待とは言えないだろう。
インデックス運用の利点
インデックス運用の最大の利点は、銘柄選択の必要がないこと。市場全体に投資するため、個別銘柄の研究やタイミングを計る必要がありません。基本的には以下の手順を守るだけで済みます。
- 適切なインデックスを選ぶ(オルカンやS&P500など)
- 定期的に投資する(ドルコスト平均法を活用)
- 市場の長期的成長を待つ
また、株価の変動が激しい時期であっても、企業の価値や収益は必ずしも大きく変動するわけではない。特に、生活必需品や付加価値を持つサービスを提供する企業は、株価の変動に関係なく収益を維持することが多いため、長期的な視点で投資を続けることが重要となる。
株価が下落した場合こそチャンス
株価の下落は一時的なものであり、長期的には企業の収益が株の価値を支えるため、下落局面で買い増しを行うことで、将来的なリターンを高めることが可能と考えられる。
インデックス運用のリスク
しかし、インデックス運用が万能というわけではない。一見手軽で効率的な運用方法にも、次のようなリスクが存在する。
- 適正価格以上での購入リスク
- インデックス運用では、株価の高低を気にせず淡々と買い続けます。そのため、適正価格以上の割高なタイミングで購入してしまうことがある。これが極端な場合、市場全体のバブルにつられるリスクが存在する。
- 市場の効率性に依存する
- インデックス運用の成功は、市場が効率的であることを前提としている。市場が非効率的である場合(例:情報の透明性が低い、流動性が低いなど)、適切なリターンを得ることは難しくなる。
- 空売りの重要性
- 空売りが可能な市場では、過剰な株価上昇が調整されやすく、価格の安定化が図られる。しかし、空売りが制限されている市場(例:中国市場)ではバブルが形成されやすく、適正価格に戻るのが難しくなるリスクがある。
- 新興市場や透明性の低い市場での運用リスク
- 決算の透明性が低い市場や、参加者が限られている市場では、インデックス運用は期待通りの結果を生まない可能性がある。市場全体の収益見通しが不明確な場合、投資自体のリスクが高まる。
機関投資家やヘッジファンドの役割
インデックス運用が成立するためには、機関投資家やヘッジファンドの存在が不可欠です。これらのプロフェッショナルな投資家たちは、次のような役割を担っています。
- 価格の適正化
- 株価が割安な場合には買い、高すぎる場合には空売りを行うことで、価格を適正な水準に保ちます。
- 流動性の提供
- 機関投資家の存在により、市場の流動性が確保され、個人投資家も安心して適切な価格で売買を行える環境が整う。
- 市場効率性の向上
- プロフェッショナルな分析や情報収集を行うことで、市場が効率的に機能するようにサポートしています。
そのため、インデックス投資家はこれらの存在に依存しており、彼らがいなければ市場価格が適正な水準を保つことは難しくなる。
インデックス投資を始める際の注意点
インデックス投資を始める前に、以下の点を確認することが重要です。
- 市場の透明性
- 決算情報が公開されているか、インサイダー取引や不正が厳しく取り締まられているか。
- 市場の流動性
- 投資先の市場に十分な参加者がいるか、売買がスムーズに行えるか。
- 空売りの可否
- バブルリスクを防ぐために、空売りが可能な市場かどうか。
- 分散投資
- 地域や資産クラスを分散させ、特定の市場リスクに偏らないようにする。
結論
インデックス運用は非常に効率的で手軽な投資手法だが、それが成立するためには市場の透明性、流動性、そして機関投資家の存在が重要となる。また、適正価格以上での購入を避けるために、投資期間を十分に確保し、リスク許容度を理解した上で長期保有を前提にすることが求められる。
特に、アメリカ市場は透明性が高く、流動性も十分で、強力な機関投資家やヘッジファンドが参加しているため、インデックス運用に適した市場と言えるだろう。そのため、インデックス投資家にとって、オルカンやS&P500への定期的な投資は依然として有効な選択肢であると言える。
コメント