ドル円為替レートを予測する

投資

為替の動きを読むことは難しい。ただし、現在の為替レートは、金利差によって説明がつくケースがおおい。特に、日米の短期金利の金利差よりも長期金利の金利差のほうが為替レートの動きを説明しやすい。なぜなら、10年金利は将来の短期金利を織り込んでおり、為替レートは市場の思惑によって変動すると思うからだ。

直近の為替の動きを確認するために、2020年のドル円為替レートを縦軸に、米国10年金利から日本10年金利を差し引いた金利差を横軸にして、以下の散布図を作成した。

上記の散布図を見ると、比較的きれいに金利差だけで為替レートの動きを説明できることが分かる。ただし、2022年、2023年、そして2024年に関しては、同じ金利差であっても20円近くの為替レートの差が生じている。この乖離は、日本に対する市場の不信任が上乗せされているためと考えられる。

2024年以降の金利の動き

次に、2024年以降の金利の動きを見ていこう。

日銀総裁の植田氏は、昨年12月に利上げを実施し、それ以降、日本の10年金利は上昇傾向にある。一方で、米国の金利は下落している。これは、米国のインフレが徐々に抑制され、CPI(消費者物価指数)も低下傾向にある中で、景気後退を回避するために金利を引き下げるとの市場の見方があるためだ。

しかし、今後の米国の政策を考慮すると、新たなインフレ要因が発生する可能性がある。特に、トランプ大統領の政策は関税の引き上げを伴うものであり、これは輸入品の価格上昇を引き起こす。結果として、インフレが再び進行し、米国の金利引き下げのタイミングが少なくなることになる。

今後の金利の動きと為替レートを予測

上記の推測を踏まえると、米国の長期金利は高止まりする可能性が高い。一方、日本ではインフレの進行に伴い、日銀が金利を引き上げる展開が予想される。このシナリオでは、長期的に円高へと進む可能性が高い。具体的には、日本の10年金利は約2.5%、米国の10年金利は4.5%程度に落ち着くと考えられる。その結果、金利差は2%となり、上記の散布図から考えると、為替レートは120円前後に収束していくと予測できる。

日本の10年金利が2.5%に達するタイミングは、約2年後と見込まれる。その時点では、日本の短期金利も1.5%程度に上昇していると考えられる。このシナリオが実現した場合、為替レートは120円前後となる。現在の為替レートは154円であるため、米国に投資している場合、為替変動だけで資産価値が2年間で約22%低下することになる。

このデータを基に、今後の投資判断を考えるべきだ。現在の為替水準で米国資産を保有し続ける場合、円高による資産価値の減少リスクを十分に考慮する必要がある。ただし、年間で11%程度の為替の影響があるが、それ以上の株のリターンがあれば十分であり、今のところ為替が円高に向かうからといって米国株を売却する理由にはならない。

ちなみに、S&P500のEPS成長率は約15%とされており、これを考慮するとPERが変化しなければ、円ベースでも約4%のリターンが見込める。したがって、為替リスクを考慮しつつも、引き続き米国株への投資を検討する余地は十分にある。

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