分割投資と一括投資はどちらが有利か?

投資

NISAが始まってから、この議論は常に話題になっている。

NISAでは最大1,800万円まで投資が可能であり、年間の上限投資額は360万円となっている。この枠をなるべく早く埋めようとすると、5年で満額に達する。

NISAで投資をする際には、多くの人の投資対象はS&P500もしくはオール・カントリー(オルカン)に絞られることが多い。そのため、投資対象が決まったら、次に投資家が選択すべきなのは、毎月積み立てるか、それとも年初に一括で投資するかという点だ。

結論を先に述べると、投資期間が15~20年程度であれば、どちらの投資方法を選んでもほぼ同じパフォーマンスになる。したがって、好きな方法を選べばいいことになる。

過去データを用いたシミュレーション

この結論を裏付けるために、過去のデータを用いたシミュレーションを行った。

考慮したケースは以下の二つ。

  1. 毎月30万円ずつ投資し、5年間で累計1,800万円を投じるケース(分割投資)。
  2. 毎年360万円を5年間一括投資し、合計1,800万円を投じるケース(一括投資)。

その後、購入したファンドを15年間保有した際のパフォーマンスを計測した。

データの対象期間は1798年から2024年までのS&P500指数の月次データを使用。ただし、為替の影響は考慮しなかった。為替を考慮すると観測できる期間が短くなること、また長期的には為替の影響は相対的に小さいと考えられるためだ。

シミュレーション結果

まず、1798年から2024年までのデータを分析すると、以下のような結果になった。

期間年一括投資月次投資
1798年~2024年232%237%

この結果を見ると、月次投資のほうが若干パフォーマンスが良い。ただし、その差はごくわずかであり、どちらの方法でも大きな違いはない。差が出た要因としては、上記の期間に間に株価が下落した期間があったためと思われる。

次に、より直近のデータを用いた分析では、以下の結果となった。

期間年一括投資月次投資
1970年~2024年449%464%
1990年~2024年286%295%

どの期間を見ても、月次投資のほうがわずかに優れている傾向があるが、その差は極めて小さい。こちらも上記の期間の間には株価が下落した期間があったことを示唆している。

15年の投資期間ではどうなるか?

次に、投資期間を15年に短縮し、最初の5年間で投資を行い、その後10年間保有するケースをシミュレーションした。

期間年一括投資月次投資
1798年~2024年185%189%
1970年~2024年303%313%
1990年~2024年233%239%

15年という短い投資期間でも、パフォーマンスの傾向はほぼ同じであり、月次投資のほうが若干有利だが、その差はごくわずかである。

結論

結局のところ、一括投資と分割投資のどちらを選ぶかは些細な問題に過ぎない。投資期間が長期であれば、どちらの方法でも大きな差は出ない。唯一の違いは、株価が下落する局面では分割投資のほうが有利になりやすいという点だ。

また、一括投資は心理的な負担が大きいことがある。投資直後に暴落すれば、精神的なダメージも大きい。一方で、毎月の積み立て投資であれば、リスクを分散しながら市場の変動に対応できるため、精神的な安定を保ちやすい。

投資の成否を決めるのは「どの方法を選ぶか」よりも、「いかに長く市場に居続けられるか」である。最も重要なのは、継続して投資を続け、長期にわたって市場の成長を享受することだ。

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