分割投資と一括投資はどっちがいいのか? その2

投資

先日は、年一括投資と月次投資のどちらが優れているのかについて考察した。 今回は、年一括ではなく、当初一括投資と分割投資の比較だ。

当初一括投資とは、投資を始める際に一括で資金を投入し、そのまま20年間運用するケース。 一方の月次分割投資は、一括投資を5年に分けて毎月一定額を投資し、その後15年間運用するケースだ。

パフォーマンスの違いを検証し、結果は以下の通り。

観測期間当初一括投資月次分割投資
1789-2024261%237%
1970-2024535%464%
1990-2004343%295%

単純なリターンを比較すると、一括投資の方がパフォーマンスは高いことが分かる。

ただし、今回はNISAを前提に、一括投資と分割投資を比較している。 NISAでは年単位での擬似的な一括投資は可能だが、当初一括投資はできない。 つまり、当初一括投資を行う場合はNISAの枠を使えず、特定口座での運用となる。 そのため、20年後の売却時には収益に対して約20%の税金が課される。

この課税を考慮してリターンを再計算した結果は以下の通り。

観測期間当初一括投資(課税前)当初一括投資(課税後)月次分割投資
1789-2024261%208%237%
1970-2024535%428%464%
1990-2024343%274%295%

課税後のリターンを見ると、NISAを活用した月次分割投資の方が高いリターンを得られることが分かる。 特に長期運用では税金の影響は無視できず、非課税枠を活用することで最終的なリターンが大きく変わる。

次に、運用期間を15年にした場合の結果も比較した。 月次分割投資は、最初の5年間で投資を行い、その後10年間運用するケースを想定。

観測期間当初一括投資(課税前)当初一括投資(課税後)月次分割投資
1789-2024206%165%189%
1970-2024359%287%313%
1990-2024265%212%239%

このケースでも、課税後のリターンは月次分割投資の方が高くなる。 つまり、運用期間が15年や20年といった長期であれば、NISAの非課税枠を活用する方が、一括投資よりも高いパフォーマンスが期待できる。

上記の結果を考えると、NISAの枠を使わないのは非常にもったいない。 投資をする際は、まずNISAの枠を最大限に活用することを優先し、その後の資金運用を考えていくのが合理的な戦略だ。

また、分割投資はリスク分散の観点でもメリットがある。 一括投資の場合、購入時の相場に大きく左右されるため、購入タイミング次第でリターンが大きく変わる。 これに対し、分割投資は投資期間が分散されるため、購入価格の平均化が図れ、大きな下落局面でのリスクを軽減できる。

特に、現在のように相場のボラティリティが高い局面では、分割投資のリスク管理効果がより大きくなる。

総合的に見て、長期投資においては非課税枠を活用し、リスク分散も考慮した分割投資が有利な戦略と言える。 一括投資は短期間でのパフォーマンスを狙う場合には有効だが、長期では税金とリスク分散の面で不利になりやすい。

今後、さらに異なる投資期間や資産クラスでも同様の比較を行い、より詳細な分析を進めていく予定だ。

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