応用情報技術者試験 Study Note 7

応用情報技術者試験

ファイアウォールの方式

ファイアウォールの方式にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴と役割を持つ。以下に代表的なファイアウォールの方式を説明する。

1. パケットフィルタリング型ファイアウォール

  • 概要: ネットワークを流れるパケットのヘッダー情報(IPアドレス、ポート番号、通信の方向など)を基に、事前に設定されたルールと照合し、パケットの通過可否を判断する方式。
  • 特徴:
    • 処理が高速で、負荷が少ない。
    • アプリケーションレベルの細かい制御はできないため、単純なパケットベースのフィルタリングしか行えない。
    • 一般的にルーターやL3スイッチに組み込まれることが多く、企業や組織のネットワークの入口で使用されることが多い。

2. ステートフルインスペクション型ファイアウォール

  • 概要: パケットフィルタリングに加え、セッションの状態を監視し、正規の通信のみにパケット通過を許可する方式。
  • 特徴:
    • 一連の通信の流れを理解し、異常な通信をブロックできる。
    • TCPのコネクションの状態を記憶し、応答パケットのみを許可することでセキュリティを向上させる。
    • 一般的に企業向けのネットワークで使用され、パケットフィルタリング型よりも高度な制御が可能。

3. アプリケーションゲートウェイ型(プロキシ型)ファイアウォール

  • 概要: クライアントとサーバーの間にプロキシサーバーを配置し、アプリケーションレベルで通信を中継・検査する方式。
  • 特徴:
    • アプリケーションごとに細かいアクセス制御が可能。
    • ユーザー認証などの追加機能を備えられ、特定のアプリケーションプロトコルに対して細かい制御を行える。
    • ただし、プロキシサーバーを経由するため、遅延が発生しやすく、大規模な環境ではパフォーマンスの低下が課題となる。

4. 次世代ファイアウォール(NGFW: Next Generation Firewall)

  • 概要: 従来のファイアウォール機能に加え、ディープパケットインスペクション(DPI)、侵入防止(IPS)、アプリケーション識別などの高度なセキュリティ機能を持つファイアウォール。
  • 特徴:
    • SSL/TLS暗号化通信の解析も可能で、より高度な攻撃の検知と防御を行える。
    • アプリケーションごとに制御を行い、従来のファイアウォールより詳細なルール設定が可能。
    • ウイルスやマルウェアの検知・防御も行えるため、企業や組織での採用が増えている。
    • ただし、導入コストが高く、設定や運用に専門知識が求められる。

5. ホスト型ファイアウォール(HIPS: Host-based Intrusion Prevention System)

  • 概要: サーバーやPCなどのエンドポイント上で動作するファイアウォール。OSの機能として搭載されていることが多い。
  • 特徴:
    • 端末ごとに個別にセキュリティ対策を適用できるため、ネットワーク全体のセキュリティ強化に貢献する。
    • ローカルで動作するため、ネットワークファイアウォールの影響を受けにくく、持ち出し端末にも適用可能。
    • 企業のエンドポイントセキュリティ対策として使用されるが、端末ごとの管理が必要となる。

まとめ

方式特徴メリットデメリット
パケットフィルタリング型ヘッダー情報のみで判断処理が高速・シンプル詳細な制御ができない
ステートフルインスペクション型セッションの状態を監視不正な通信を検知しやすい若干の処理負荷がある
アプリケーションゲートウェイ型プロキシを経由アプリケーションレベルの制御が可能遅延が発生しやすい
次世代ファイアウォール(NGFW)DPI・IPS機能搭載高度なセキュリティ対策が可能導入コストが高い
ホスト型ファイアウォール(HIPS)端末ごとに管理個別の端末に対応可能端末ごとの設定が必要

どのファイアウォールを選択するかは、ネットワークの規模やセキュリティ要件によって異なる。組織のセキュリティポリシーや予算に応じて、適切な方式を採用することが重要である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました