現在の家族構成の支出をサザエさん一家で説明する

政治

平成元年 磯野・フグ田家の家計分析

サザエさんは、日本を代表する国民的アニメであり、その家族構成は昭和の古き良き時代を象徴している。磯野家とフグ田家の7人が一つ屋根の下で助け合いながら暮らす姿は、かつての日本に多かった大家族を思い起こさせる。現代の核家族化が進む中、このような大家族の暮らしは少なくなったが、かつては当たり前の光景だった。

しかし、時代とともに社会の在り方は変化し、現在では核家族が主流となっている。その結果、サザエさんのような大家族はほとんど見られなくなった。核家族化が進むことで、世帯ごとの生活費の負担が大きくなり、親世代を金銭的に支援する必要が生じるケースも増えている。かつては大家族の中で自然に支え合うことで成り立っていた家計も、今では個々の家庭が独立しているため、経済的な負担が分散されにくい状況となっている。この家計の変化について、詳しく見ていこう。

平成元年にサザエさん一家は、以下の状況だったと仮定する。

名前年齢(推定)備考平均給与
磯野波平54歳サザエの父525万円
磯野フネ52歳サザエの母専業主婦
磯野カツオ11歳(小学5年生)サザエの弟扶養
磯野ワカメ9歳(小学3年生)サザエの妹扶養
フグ田マスオ28歳サザエの夫約425万円
フグ田サザエ24歳主人公専業主婦
フグ田タラオ(タラちゃん)3歳サザエとマスオの息子扶養

所得・税金・手取り額

磯野家の家計は、波平とマスオが稼ぎ頭となり、二人の収入によって支えられている。家賃や住宅ローンの負担はなく、固定資産税のみを支払うため、比較的余裕のある家計といえる。ただし、今回は計算を簡単にするために固定資産は考慮しない(実際は世田谷の大きな家なので、相当な固定資産税が必要なきがするが。。。)

名前年齢平均給与所得税住民税社会保障料手取り
磯野波平54歳525万円56万円33万円45万円388万円
フグ田マスオ28歳425万円41万円25万円36万円320万円

上記の通り、家族全体の手取り額は合計708万円となる。

生活費は月44万円、年間528万円と見積もると、年間180万円の余裕がある。この余裕があるおかげで、家族の暮らしに安定感が生まれ、波平やマスオの威厳も保たれている。

このように、かつての日本では、大家族が経済的に助け合うことで成り立っていた。しかも、子どもも小さくほとんど負担はないだろう。しかし、現在のように核家族化が進むと、親の世代を支える役割が一部の子供に偏ることになり、個々の家計に重い負担がのしかかる。この変化が、社会全体にどのような影響を与えているのか、さらに見ていくことにしよう。

10年後(平成10年)の磯野・フグ田家の家計

時が流れ、家族の年齢や状況も変化する。波平は定年を迎えたが、再雇用され収入を得ている。カツオとワカメは大学生となっているが、自宅から通える国立大学へ行くことはできずに二人共、私立大学に進学した。

名前年齢備考平均給与
磯野波平64歳サザエの父200万円(再雇用)
磯野フネ62歳サザエの母専業主婦
磯野カツオ21歳(大学3年生)サザエの弟私立大学生
磯野ワカメ19歳(大学1年生)サザエの妹私立大学生
フグ田マスオ38歳サザエの夫約480万円
フグ田サザエ34歳主人公専業主婦
フグ田タラオ(タラちゃん)13歳(中学1年生)サザエとマスオの息子扶養

波平さんは、再雇用のため、約300万円の年収ダウンだ。マスオさんは、10年前に比べればお給料は増えたが、年収ベースで55万円の上昇にとどまった。

費用については、生活費は10年前と同じ月44万円とするが、教育費は私立大学が2名のため年間で120万円 x 2 = 240万円もかかる。また、タラちゃんも中学校に行き年間50万円程度の負担が増えた。

すると、磯野家の収支は以下の通りになる。

10年後(平成10年)の磯野・フグ田家の家計

収入項目金額
波平の収入(再雇用)200万円
マスオの収入480万円
総収入680万円
支出項目金額
生活費528万円
私立大学学費(カツオ・ワカメ)120万円 × 2 = 240万円
中学校進学費(タラオ)50万円
総支出818万円
項目金額
年間赤字▲138万円

これを見て分かる通り、磯野家は波平さんが再雇用のため、年収は下がる一方で、カツオくんとワカメちゃんの教育費の負担が増加したため、年間では赤字になるのだ。おそらく、波平さんは、過去に蓄えた貯金を減らしていくか、自宅の土地を担保にお金を借りている可能性がある。


令和7年(36年後)の磯野・フグ田家の家計

それからさらに時間が経ち、家族の構成は大きく変化しており、以下の通りになったとする。

名前年齢(推定)備考平均給与
磯野波平90歳サザエの父年金197万円
磯野フネ88歳サザエの母年金67万円
磯野カツオ48歳サザエの弟593万円
磯野ワカメ45歳サザエの妹398万円
フグ田マスオ64歳サザエの夫早期退職・無職
フグ田サザエ60歳主人公専業主婦
フグ田タラオ(タラちゃん)39歳サザエとマスオの息子550万円

波平さんとフネは、年金を支給されている。また、かつての扶養者であったカツオやワカメ、タラオは家族を支える大黒柱に成長しており、家族全体の年収は1,805万円である。

名前年齢所得所得税住民税社会保障料手取り
磯野波平90歳197万円10万円20万円36万円131万円
磯野フネ88歳67万円3万円6.7万円0円57万円
磯野カツオ48歳593万円76万円59万円108万円350万円
磯野ワカメ45歳398万円37万円40万円73万円249万円
フグ田タラオ39歳550万円67万円55万円100万円327万円

合計収入は1805万円となり、手取りも1114万円となる。既存の磯野家だけで生活するならば、現在の税金や社会保険料を考慮しても十分な金額だ。このように、カツオ・ワカメ・タラちゃんが働いており、子どもがいなく、波平家にずっと居候している場合、この家計は安定し、生活に困ることはないだろう。マスオさんやサザエさんが働かなくても、十分に生活は安定している。

しかし、上記の仮定は、三人が同じ波平さんの家にいる場合だ。あの家は、成長したカツオくん、ワカメちゃん、タラちゃんには狭すぎるだろう。

カツオ・ワカメ・タラオは、それぞれ結婚して独立したことを考えるのが自然だろう。しかし、そうなった場合には、それぞれの世帯は新たな経済的課題を抱えることになる。

収入だけを考えると、以下のような家計状況になる。

カツオ、ワカメ、タラオがそれぞれ独立していたら?

しかし、もしカツオやワカメ、タラオが結婚し、それぞれ子どもを持つ場合はどうなるだろうか?ワカメは専業主婦とし、それぞれが別々の家を持っていると仮定する。

まず磯野波平家の家計を見てみよう。

名前年齢所得所得税住民税社会保障料手取り
磯野波平90歳197万円10万円20万円36万円131万円
磯野フネ88歳67万円3.35万円6.7万円0円57万円
フグ田マスオ64歳
フグ田サザエ60歳

世帯年収は186万円であり、年間の世帯の支出を360万円( = 30万円 x 12ヶ月) とすると貯蓄を切り崩さなければ生活できない。マスオとサザエは、子どもたちが独立したあとに一生懸命貯めたお金を取り崩す必要があるか、年金の前倒し受給をしなければならず、年間360万円程度の生活費を考えれば、完全に赤字の家計となる。

次に、カツオの世帯を見てみよう。

名前年齢備考所得所得税住民税社会保障料手取り
磯野カツオ48歳サザエの弟593万円75.85万円59.3万円108万円350万円
カツオの妻専業主婦

世帯年収はカツオの350万円のみであり、家賃が10万円、生活費が25万円と仮定すると、年間の支出は420万円に達し、貯蓄はできない。

ワカメの家計も同様の状況だ。

名前年齢備考所得所得税住民税社会保障料手取り
ワカメの夫398万円37万円40万円73万円249万円
磯野ワカメ45歳専業主婦

タラオも同じく、厳しい家計状況に直面する。

名前年齢備考所得所得税住民税社会保障料手取り
フグ田タラオ39歳サザエの息子550万円67万円55万円100万円327万円
タラオの妻専業主婦

サザエ一家は、持ち家のため家賃やローンの負担がないが、独立した子どもたちの家計は火の車であり、子どもを持つとさらに赤字が拡大する。解決策として、子どもたちは波平の家に住み続けることがコスト削減につながる。家族全員が同居すれば、生活費は大幅に抑えられる。

これは晩婚化の一因とも考えられる。

かつては生活ができない二人が結婚して、生活費を減らしていたが、今は実家からコストが増すばかりなのだ。さらに、独立後も重い社会保障料がのしかかり、子どもたちはまともな生活はできないだろう。しかも、私立中学に行かせる場合には、莫大な教育費が家計にのしかかり専業主婦は働きに出なくては行けないだろう。

また、波平さんの家でも、家計費は火の車だ。波平を支えるための仕送りが必要になる。もし仕送りを止めれば、波平から「バカモーン!」と怒鳴られることは避けられない。別々の家に暮らしたため、また仮定を持ったために、コストが莫大に罹る。

これが、現代の家計問題と地方交付税の縮図だと言える。これを解決するには、多くの人が継続して働く必要がある。上記でも、サザエさんとマスオさんは無職だ。また、子どもたちの家でも専業主婦を仮定している。そのためにお金が足りないのだ。だから、多くの人が働く必要がある。

いかがだろうか?。サザエさんの一家は、土地付きの家に大家族で住んでいるから成り立つことが理解できたのではないだろうか?。また、サザエさんのような家庭(専業主婦や子沢山)を作るには、住居の負担を減らし、かつ大家族で住む必要がある。そうでなければ、到底、やっていけない。

今の東京の環境を見ると、大家族で住める家は大金持ちになっている。売っている家やマンションを見ると、3世帯が住めるような家ではないのだ。となると、各々の家庭が独立して、それぞれがみんな働き、子どもを育てなくてはいけない。しかも、子育ては非常に労働力が必要である。それを奥さんだけが賄えるはずがないのだ。

それを考えて、政府は政策を建てなくてはいけないのだ。

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