日銀利上げ観測で日本株は上下に振られつつも、最終的には高値圏で推移・米株は利下げ期待で底堅い
① 12/1
日経平均
- 終値:49,303.28円(前日比 -1.89%)
- 植田総裁の発言で「12月利上げ観測が一気に強まる」→ 長期金利上昇 → 株は大幅反落。
- 銀行と石油石炭だけ上昇、他31業種は下落。
- 金利上昇メリットの銀行株(三菱UFJなど)は買われたが、それ以外は広く売られた。
S&P500
- 終値:6,812.63(-0.53%)
- 直近上昇の「一服」で小反落。金利や世界情勢への不安が意識され、やや利益確定売り優勢。
為替
- ドル円:155円台半ば
- 日銀利上げ観測と海外金利動向が綱引き。
→ 円高方向の動きが「輸入にはプラスだが、ドル建て資産の円換算にはマイナス」という見方。
② 12/2
日経平均
- 終値:49,303.45円(前日比 0.00%)※実質小反発→途中マイナス転換も
- 前日の急落後で自律反発スタート → その後は日銀利上げ観測で戻り売りも出て、方向感が乏しい1日。
- 16業種上昇 / 17業種下落で、全体としては「もみ合い・様子見」。
S&P500
- 終値:6,829.37(+0.25%)
- 前日の下落から買い戻し。
ただし、米金利・金融政策見通しへの警戒は続き、「強くはないけど崩れない」横ばい〜小高い展開。
為替
- ドル円は155円台半ばで推移。
→ 日銀利上げ観測はありつつも、為替は大きくは動かず。
③ 12/3
日経平均
- 終値:49,864.68円(前日比 +1.14%)
- 米株上昇を受けて日本株も続伸。
- 一時は日経平均が5万円台に乗せる場面もあったが、引けでは大台を維持できず。
- 実態としては、指数は強いが
→ AI・ロボット関連など一部銘柄が指数を押し上げている構図
→ 銀行や小売など多くは軟調(上昇10業種、下落23業種)。
S&P500
- 終値:6,849.72(+0.30%)
- 米国債利回りの低下+雇用統計が弱め → 利下げ観測が再燃 → 小幅高。
為替
- ドル円:155円台
- 米金利低下でドルはやや弱含みだが、日銀側も利上げが意識され、片方向では動きづらい状態。
④ 12/4
日経平均
- 終値:51,028.42円(前日比 +2.33%)
- 3日続伸&高値引け、TOPIXは終値ベース最高値更新。
- 前日の米株高+AI・ロボット関連人気で、日本株全面高に近い展開。
- 33業種中30業種が上昇(卸売、情報・通信など)、下落は水産・農林、非鉄金属など3業種だけ。
S&P500
- 終値:6,857.12(+0.11%)
- 小幅続伸で高値圏キープ。
- 雇用関連指標が弱め → 利下げ期待 → 金利は落ち着き、株はじり高。
為替
- ドル円:155円前半
- 円安基調は続くが、国内利上げ観測のせいで、以前のように「一方向の円売り」にはなりにくい。
⑤ 週次
日本株(先週の動き)
- 日銀利上げ観測で長期金利は上昇、債券市場は警戒。
- その一方で、米株高を背景とするリスクオンも戻り、
→ 前半は調整、後半は持ち直しという形で、
→ 日経平均は最終的に 前週比 +0.47%で小幅高。 - レベル感としては5万円近辺〜5万超の高値圏での攻防。
米株(S&P500)
- 前週比 +0.31%の小幅高。
- 基本トーンは「利下げ期待に支えられた底堅さ」と「金利動向への不安」の綱引き。
- 上昇と反落を繰り返しつつも、全体としてはじわっと右肩上がり。
為替(ドル円)
- おおむね 154〜155円台で推移。
- 日銀利上げ観測 → 円買い方向の材料
VS. 依然として米金利の方が高い → 円売り材料
→ 結果として「大きくは崩れないが、以前よりは円高リスクを意識し始めた」状態。
市場の雰囲気
- テーマ①:日銀利上げ観測
- 日本では利上げ観測で金利↑ → 銀行株↑、他セクターには逆風。
- ただし、日経平均全体としては高値圏で強く、「悲観一色」ではない。
- テーマ②:米国の利下げ期待
- 米国では利下げ期待が根強く、S&P500は大きく崩れず、高値圏での小幅上昇が続く。
- テーマ③:円相場
- ドル円は154〜155円台でやや円高方向を意識しつつも、依然として円安水準。
- 為替の急激なトレンド転換ではなく、「様子見しつつ若干円高気味」というニュアンス。
個別銘柄
12/1 終値ベース
8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ
- 株価:2,463円(前日比 +1.63%)
- 材料
- 日銀12月利上げ観測 → 銀行株全般に追い風。
- 外資系証券が
- 投資判断を「中立」→「強気」
- 目標株価を 2,700円 → 2,910円 に引き上げ。
- テーマ
- 金利上昇メリット株(メガバンク)
- 「利上げ局面+積極財政」で長期的成長が意識されている流れ。
4579 ラクオリア創薬
- 株価:1,054円(前日比 +16.59%、ストップ高)
- 材料
- 合成レチノイドタミバロテン+がん治療薬の併用投与について、米国で特許査定を受領。
- 11/28 にはアステラス製薬との共同研究で標的追加 → 一時金4億円受領を発表し、この時もストップ高。
- テーマ
- 創薬ベンチャー×特許・共同研究マイルストーン。
- 短期的には材料次第で大きく値が振れるタイプ。
4369 トリケミカル研究所
- 株価:3,295円(前日比 +18.02%)
- 材料
- 2–10月期営業利益が 45.6億円(+30.2%) と、市場予想(43.4億円程度)を上回る。
- データセンター投資、PC/スマホのAI機能搭載拡大、さらに
- 経費削減
- コスト上昇に伴う値上げ
が利益を押し上げ。
- テーマ
- 半導体・生成AI関連(材料・ケミカル)
- AI需要を背景にした増益+業績モメンタム銘柄。
DIS The Walt Disney Company
- 株価:106.77ドル(前日比 +2.20%)
- 材料
- 新作アニメ「ズートピア2」が世界的に大ヒットし、アニメ映画史上最大級のオープニング興行収入と報道。
- 直近決算でストリーミング契約者が1億9,600万人(前期比 +1,240万人)と増加。
- テーマ
- コンテンツヒット+サブスク(配信)事業の成長。
- 映画と配信の両輪で評価が戻ってきている流れ。
12/2 終値ベース
5214 日本電気硝子
- 株価:6,335円(前日比 +9.87%)
- 材料
- AIサーバー・データセンター向け最先端半導体に使う低誘電ガラスファイバーを開発。
- 通信ロスや消費電力を大幅に低減できるとされ、市場がAIインフラ関連素材として評価。
- テーマ
- AI需要×素材・ガラス。
- 「地味だけどAIを支える部材」として物色されるタイプ。
6954 ファナック
- 株価:5,366円(前日比 +6.51%)
- 材料
- エヌビディアと協業し、産業用ロボットへの「フィジカルAI」実装を推進すると発表。
- 国際ロボット展で、オープンプラットフォーム上のフィジカルAIアプリの実例を初公開予定。
- テーマ
- ロボット×AI(NVIDIA連携)という分かりやすい人気テーマ。
- 老舗ハイテク・ロボット銘柄の「AI再評価」。
3099 三越伊勢丹ホールディングス
- 株価:2,311円(前日比 -6.12%)
- 材料
- 11月国内百貨店売上高(速報)が前年同月比 +0.6%と伸びが鈍い。
- 日中関係悪化でインバウンド消費低迷が懸念され、免税売上高が減少に転じた。
- テーマ
- インバウンド依存度の高い百貨店株の逆風。
- 円高気味+中国からの旅行減などがネガティブ材料。
INTC Intel Corporation
- 株価:43.47ドル(前日比 +8.65%)
- 材料
- マレーシアの半導体後工程拠点に約320億円規模の追加投資を発表。
- AI向け設備投資やファウンドリーサービス強化への期待。
- テーマ
- 半導体製造×AIインフラ投資。
- 「出遅れインテルの巻き返し期待」が再燃している形。
12/3 終値ベース
6433 ヒーハイスト
- 株価:510円(前日比 +18.61%、ストップ高)
- 材料
- 日本の電子部品・半導体企業が連携し、国産ヒューマノイドロボット量産に乗り出すとの報道。
- 開発連携組織「京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)」に参画している銘柄として連想買い。
- テーマ
- 国産ヒューマノイドロボット関連の思惑株。
- テーマ性が強く、ニュースで一気に資金が来るタイプ。
2656 ベクターホールディングス
- 株価:144円(前日比 +8.27%、一時ストップ高)
- 材料
- 米Cornami製AIサーバーを来春から国内販売すると発表。
- Adeccoとデータアノテーション領域で連携開始 → 日本発のAIインフラ構築に関与との期待。
- テーマ
- AIサーバー販売+データアノテーション=AIインフラ周りの小型株。
- ボラティリティの高いテーマ株ポジション。
4587 ペプチドリーム
- 株価:1,463円(前日比 -12.53%)
- 材料
- 2025年12月期営業利益予想を
- 216億円の黒字 → 54億円の赤字へ下方修正。
- 期待していたマイルストーン収入や新規契約の時期が2026年期へズレ込む見通し。
- 2025年12月期営業利益予想を
- テーマ
- 創薬・プラットフォーム企業の「期ズレショック」。
- 利益のボラティリティの高さが改めて意識された形。
TSLA Tesla, Inc.
- 株価:446.74ドル(前日比 +4.08%)
- 材料
- 米国でのロボティクス・自動運転支援政策が追い風。
- 上海工場の11月出荷増加が確認され、成長期待が再評価。
- テーマ
- **EV+自動運転+ロボット(オプティマス)**の複合成長ストーリー。
- 政策支援+生産増のセットで買われた形。
12/4 終値ベース
4680 ラウンドワン
- 株価:1,090円(前日比 +11.77%)
- 材料
- 11月国内既存店売上高が前年同月比 +10.1%(速報値)。
- 2か月連続プラス、伸び率は8月以来の高さ。
- コラボキャンペーン好調。米国既存店も +2.9%。
- 11月国内既存店売上高が前年同月比 +10.1%(速報値)。
- テーマ
- 国内レジャー・エンタメ需要回復+インバウンド・家計のサービス消費。
- 不況感が出ている中でも「遊び」にお金が回っている象徴の一つ。
4516 日本新薬
- 株価:4,323円(前日比 +19.32%、ストップ高)
- 材料
- 米カプリコール・セラピューティクスが開発中のDMD向け医薬品
「デラミオセル(CAP-1002)」の第3相試験が良好な結果。 - 米国で承認されれば、日本新薬の米子会社が販売・販促を担当予定。
- 米カプリコール・セラピューティクスが開発中のDMD向け医薬品
- テーマ
- 希少疾患×海外パートナーシップの大型パイプライン。
- 承認に向けた期待先行で、一気に評価見直し。
8057 内田洋行
- 株価:9,880円(前日比 -9.52%)
- 材料
- 2026年7月期1Q営業利益は 30.1億円(+95.6%) で予想(28億円)も上回り。
- それでも
- 「材料出尽くし」
- 「Win10サポート終了需要でのさらなる上振れ期待に対しては物足りない」
と見られ、利確売りが優勢。
- テーマ
- 好決算後の「出尽くし」典型パターン。
- 業績は良いが、株価が先に織り込みすぎていたケース。
ORCL Oracle Corporation
- 株価:214.33ドル(前日比 +3.18%)
- 材料
- AIクラウド需要の高まりから株価上昇。
- Wells Fargo が格付けを「Overweight」に引き上げ、
OCI(Oracle Cloud Infrastructure)がAIインフラ市場でシェア拡大と評価。
- テーマ
- 既存エンタープライズ+AIクラウドの再評価。
- 「AIインフラ銘柄」として、NVIDIA・マイクロソフトほどではないが周辺で買われるポジション。
どう眺めるといいか(ざっくり視点)
- 日本株の主役
- 金利上昇メリット:三菱UFJ
- AI・半導体・ロボット:トリケミカル、日本電気硝子、ファナック、ヒーハイスト、ベクターHD
- 創薬・バイオの材料株:ラクオリア、日本新薬、ペプチドリーム
- 内需サービス回復:ラウンドワン
- 米株の主役
- コンテンツ&配信:ディズニー
- 半導体&ファウンドリー:インテル
- EV・自動運転・ロボティクス:テスラ
- AIクラウド:オラクル

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