日本の一般会計において、地方交付税は重要な財源の一つを占めている。2025年度の予算では、その額は19兆円に達する。
地方交付税についての詳細は、Wikipediaに詳しく記載されている。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E4%BA%A4%E4%BB%98%E7%A8%8E
地方交付税の目的を抜粋すると、「地方交付税は、地方公共団体の運営の自主性を損なうことなく、その財源の均衡化を図り、国が必要な財源の確保と交付基準の設定を行い、地方行政の計画的な運営を保障することによって地方自治の本旨の実現と地方公共団体の独立性を強化することを目的としている。」とされている。
つまり、地方に住む人々への補助金であり、それを基に地方交付税を受けた市町村に住んでいる人々は、憲法で認められた最低限の公共サービスを受け、自分たちの生活を維持することができるという仕組みだ。
この地方交付税の制度には個人的に疑問を感じる。
税収の観点から見ても、大都市のほうが税収が多く、地方の税収は相対的に少ない。要するに、大都市の住民が納めた税金が地方へと流れているのが現状だ。
地方から都市部へ移住した人々は、自身が育った地域に愛着があり、税金がその地方に還元されることに一定の理解を示すこともあるだろう。しかし、実際に最も多くの税金を納めているのは地方出身者ではなく、高い教育水準を受けた人々だ。その多くはもともと地方ではなく、都市部で育ったと考えるのが自然ではないか。
そう考えると、自分を含め、多くの納税者がなぜ地方にこれほど多くの税金を支払っているのか疑問に思えてくる。
こうした疑問を持ち、地方財政について調べると、その仕組みがいかに複雑であるかがわかる。財政の流れは複雑で、多くの自治体が国や都道府県からの補助金を受け、生活保護費の負担も国と地方で分担されている。調べれば調べるほど、資金の流れが不透明であり、適切な議論すら行われていないのが現状だ。
ここでは、地方交付税の一般歳入における割合と地方公共団体の人口の関係性に焦点を当てる。
以下は、縦軸に地方交付税の割合、横軸は地方公共団体の人口をある程度の区分でカテゴライズ化した箱ひげ図だ。箱ひげ図を簡単に説明すると、青いボックスの箇所は全体の半分を占めている割合だ。真ん中にある横棒が中央値となる。下のグラフで言えば、一番左にある 0<2000 というのは人口が0より多く2000人以下の地方自治体の50%は、その地方交付税の割合が40%から53%であるということになる。( 箱ひげ図については、こちらのページが詳しい https://www.lightstone.co.jp/study/graphing_boxchart.html )
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これを見てわかることは、X軸の右側に行けば行くほど、地方自治体の人口は増えていくが、その地方交付税の割合は、明らかに低減しているということだ。つまり、地方交付金の割合と地方自治体の人口は、明らかに反比例の関係があることがわかる。つまり、人口の少ない自治体ほど地方交付税への依存度が高く、人口が多くなるほどその割合は低下していくのだ。
同じことを市、町、村でもグラフを作成した。
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市町村別のグラフでも同様な結果が得られただろう。つまり、市だから、町だから、村だから地方交付金の割合が高い傾向にはあるのかもしれないが、地方公共団体の人口も重要であるのだ。つまり、地方公共団体は、これから自治を進めていくうえでは、人口の取り合いが最も重要になっていくのではと考えている。
確かに、これだけをもって結論を出すのは早計だが、住民の多い地域では地方行政も効率的に運営されている例が多く、市町村の人口の多さが財政の安定に直結する要因となることは明らかだ。
地方財政の問題は多岐にわたり、単純な解決策が存在するわけではない。しかし、現状のままで良いとは到底思えない。税金の公平な分配、自治体の財政の自立、住民の生活の質の維持、この3つのバランスをどのように取るかが今後の重要な課題となる。
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