PER25倍は正当化できるのか?

投資

米国債との比較

近年、株価の上昇に伴いPERが高い銘柄が多く見られるようになった。加えて、米国債の金利も4%前後となり、安全資産としての魅力が高まっている。

PERが25倍ということは、1株100ドルの投資に対して、1株あたり4ドルの利益が生まれることを意味する。PERの定義は以下の通り。

PER=株価 / EPS(1株当たり利益)

この観点から見れば、PER25倍の株式投資は、債券のクーポンが4%程度の利回りに相当する。ただし、債券には満期があり、元本が保証されるのに対し、株式は売却時の価格が不確定であり、元本割れのリスクがある点が決定的に異なる。

現在の米国債利回りは短期で4.2%程度だ。利回りだけを単純に比較すると、株式投資は債券よりも高いリターンを提供する必要がある。なぜなら、株式は価格変動リスクを伴い、売却時に投資元本を下回る可能性があるからだ。

高PER株に投資する理由は?

では、なぜ多くの投資家が高PERの株式を購入するのか。それは、企業の事業成長に期待をかけているからであり、特にEPS(1株当たり利益)の成長率が重要な要素となる。

仮にEPSの成長率が年間15%とすると、5年後にはEPSは2倍、つまり4ドルだったEPSが8ドルになる。100ドルで購入した株の利回りは8%に上昇する。また、10年後にはEPSは16.18ドルとなり、利回りは16%に達する。さらに、1株あたりの利益をすべて内部留保すれば、合計97.40ドルの蓄積となり、投資した資本がそのまま企業の資産に反映されることになる。

PERが変わらず25倍のままだとすると、10年後のEPS16.18ドルに対して株価は404ドルとなる。この場合、投資額の約4倍のリターンが得られる計算だ。しかし、年間15%の成長を10年間継続できる企業はごく限られている。

YearEPS株価 (PER=25)
04.00100.00
14.60115.00
25.29132.25
36.08152.09
47.00174.90
58.05201.14
69.25231.31
710.64266.00
812.24305.90
914.07351.79
1016.18404.56

では、EPSの成長率が20%だった場合はどうなるか。20%成長を続けた場合、5年でEPSは2.5倍、10年後には6.2倍となる。同じようにPER25倍の条件を維持した場合、10年後の株価は619ドルとなり、6倍以上のリターンを得る計算になる。また、10年間の内部留保は128.6ドルに達する。

YearEPS株価 (PER=25)
04.00100.00
14.80120.00
25.76144.00
36.91172.80
48.29207.36
59.95248.83
611.94298.60
714.33358.32
817.20429.98
920.64515.98
1024.77619.17

投資は慎重に

しかし、現実的には10年間もEPSを20%成長を維持できる企業はほとんど存在しない。一流企業であっても、EPSを10年間にわたって20%成長させるのは非常に困難であり、この水準を達成できるのはビッグテック企業や急成長中の新興企業に限られる。

したがって、PERが高いのには理由がある。それは、EPSの成長率に対する市場の期待が反映されているからだ。しかし、成長性に疑問が生じた瞬間、株価が暴落するリスクも伴う。高PERの企業に投資する際は、成長が持続可能であるかどうかを慎重に見極める必要がある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました