先週受けた応用情報技術者試験には不合格だった。非常に悔しく、残念な結果だったが、今思えば、試験勉強をしていた日々は、充実していて楽しく過ごせた時間だった。
もう一度受けるつもりはない。しかし冷静に考えると、応用情報技術者試験の合格は、高度情報処理技術者試験の受験に必須ではない。合格していれば午前Ⅰ試験が免除されるという利点はあるものの、それもわずか2年間だけ。したがって、ここで落ち込んで立ち止まるよりも、前に進むことのほうが建設的だと考えるようになった。
以下に、高度情報処理技術者試験(スペシャリスト系)の概要と詳細をまとめる。
高度情報処理技術者試験(スペシャリスト系)一覧
資格名 | 試験日(年2回) | 年会費 | 概要 | 合格までの目安学習日数 |
---|---|---|---|---|
ネットワークスペシャリスト(NW) | 4月・10月 | なし | TCP/IP、ルーティング、セキュリティなどのネットワーク構築技術を問う | 約2〜3ヶ月(100〜150時間) |
データベーススペシャリスト(DB) | 4月 | なし | SQL、ER図、設計、性能管理などのデータベース関連技術 | 約3ヶ月(120〜180時間) |
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) | 10月 | なし | 組込み開発やリアルタイム制御、ハードウェア関連知識を評価 | 約3〜4ヶ月(150〜200時間) |
システムアーキテクト(SA) | 10月 | なし | 要件定義から設計まで、システム全体のアーキテクチャを構築する能力 | 約3〜4ヶ月(150〜200時間) |
ITストラテジスト(ST) | 10月 | なし | 経営戦略・IT企画・IT投資判断などを担うIT企画の専門職を評価 | 約3〜5ヶ月(200〜300時間) |
プロジェクトマネージャー(PM) | 4月 | なし | プロジェクト全体のマネジメント能力を評価 | 約3〜5ヶ月(200〜300時間) |
ITサービスマネージャ(SM) | 10月 | なし | ITIL準拠のIT運用・管理能力を評価 | 約2〜3ヶ月(100〜150時間) |
システム監査技術者(AU) | 4月 | なし | システム監査、ガバナンス、リスク評価などの監査能力 | 約3ヶ月(120〜180時間) |
情報処理安全確保支援士(SC) | 4月・10月 | 年2万円(登録者のみ) | セキュリティ技術全般とリスク対応、脆弱性管理 | 約2〜3ヶ月(100〜150時間)※登録不要で受験・合格可能 |
これを見ると、数ヶ月で取得が可能となっており、かつそれぞれの専門性が問われることになる。応用情報技術者試験の午後の部の各項目と考えればいいのだろうか?
試験構成(各科目)
試験名 | 午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ |
---|---|---|---|---|
ITストラテジスト(ST) | ◯ | ◯ | ◯(記述) | ◯(論述)★ |
プロジェクトマネージャー(PM) | ◯ | ◯ | ◯(記述) | ◯(論述)★ |
システムアーキテクト(SA) | ◯ | ◯ | ◯(記述) | ◯(論述)★ |
ネットワークスペシャリスト(NW) | ◯ | ◯ | ◯(記述) | ◯(記述) |
データベーススペシャリスト(DB) | ◯ | ◯ | ◯(記述) | ◯(記述) |
エンベデッドシステム(ES) | ◯ | ◯ | ◯(記述) | ◯(記述) |
ITサービスマネージャ(SM) | ◯ | ◯ | ◯(記述) | ◯(論述)★ |
システム監査技術者(AU) | ◯ | ◯ | ◯(記述) | ◯(論述)★ |
情報処理安全確保支援士(SC) | ◯ | ◯ | ◯(記述) | ◯(記述) |
午後Ⅱが論述式かどうかが、試験の性格を分ける重要な違い。論述式では800〜1,000字の記述力と論理的展開が求められる。
試験の回数は多い。しかも、問題は記述式も多く、採点者の人たちが大変そう。ちなみにIT系の人たちには、早めにコンピューターでの試験を導入してほしい。自分のPCを持ち込んで、リモート接続で試験を受けるようにしてほしいものだ。カンニング対策としては、カメラを常にオンにするか、試験会場でに集まって試験を受けるのがいいと思う。
2024年度以降の受験料(税込)
試験区分 | レベル | 受験料 |
---|---|---|
ITパスポート試験(CBT) | レベル1 | 7,500円 |
基本情報技術者試験(CBT) | レベル2 | 7,500円 |
応用情報技術者試験 | レベル3 | 7,500円 |
高度情報処理技術者試験 | レベル4 | 7,500円 |
どんなレベルであっても7500円で済んでしまうのは、国家資格だからだと思われる。他の資格では、もっと高い状況だ。コスパが高いのも国家資格試験のいいところだ。
各試験の難易度(相対偏差値)
資格名 | 難易度 (*1) | 難易度 (*2) |
---|---|---|
ネットワークスペシャリスト(NW) | A | 67 |
データベーススペシャリスト(DB) | A | 67 |
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) | A | 67 |
システムアーキテクト(SA) | A | 68 |
ITストラテジスト(ST) | S | 71 |
プロジェクトマネージャー(PM) | A | 69 |
ITサービスマネージャ(SM) | A | 68 |
システム監査技術者(AU) | S | 70 |
情報処理安全確保支援士(SC) | A | 67 |
応用情報技術者試験(AP) | A | 65 |
(*1) newtongym8.com より
(*2) shikaku-fan.net より
すべてが難しい資格になっている。応用情報技術者試験も、難易度は高いが、それを若干上回る難しさだ。
高度情報処理技術者試験 一覧と詳細(2025年時点)
最後に、もう一度、資格とその詳細について並べてみた。なかなか難しいと思う反面、知ったら楽しそうだなと思うようなものも多い。
この中から次に目指す資格を考えていこう。
資格名 | 目的 | 対象者 | 出題分野 | 午後Ⅱの出題例 |
---|---|---|---|---|
ITストラテジスト(ST) | 経営戦略に基づいたIT戦略・企画を自ら立案・提案する能力を評価 | 経営層、企画部門、ITコンサルを目指す人材 | 経営戦略、情報戦略、IT投資評価、DX推進、業務改革、事業継続 | ・業務改革プロジェクトの立案と実行・DX推進におけるリーダーシップの発揮・サービス型ビジネスへの転換戦略 |
プロジェクトマネージャ(PM) | プロジェクト全体の進行、コスト、品質、リスクの統合的管理能力を問う | PM、PL、システム開発チームの管理職層 | スケジュール管理、WBS、リスク・品質・要員・ステークホルダー管理 | ・プロジェクト遅延時の対応と教訓・ベンダーとの契約・進行管理・利害関係者との合意形成 |
システムアーキテクト(SA) | 要件定義から設計段階におけるアーキテクチャ全体を描く能力を評価 | 上流工程に従事するSEやアーキテクト志望者 | システム構成設計、非機能要件、データ・UI設計、業務分析 | ・非機能要件を考慮した設計戦略・要件変更時の影響評価と再設計・統合時のインタフェース設計 |
ネットワークスペシャリスト(NW) | ネットワーク設計・構築・運用に必要な専門知識と実務力を評価 | ネットワークエンジニア、インフラ設計担当者、セキュリティ業務従事者 | TCP/IP、ルーティング、BGP、VPN、SDN、冗長化構成 | ・WAN構成と冗長設計の比較検討・IPv6導入時の課題と対策・サイバー攻撃に対するNW視点での対応策 |
データベーススペシャリスト(DB) | データベースの論理設計から運用・保守・性能評価までの知識と技術を問う | DB管理者、業務系SE、データ活用エンジニア | 正規化、ER図、SQL、インデックス設計、トランザクション管理 | ・ERモデルを基にした整合性設計・性能劣化の原因分析と対策・高可用性を意識した冗長構成 |
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) | 組込みシステムに特有なリアルタイム処理やハード制御技術を評価 | 組込み系開発者、C言語利用者、RTOS技術者 | 割り込み制御、センサ制御、電力制御、リアルタイムOS設計 | ・マルチタスク実装におけるタイミング設計・割り込み設計とセンサ連携・通信エラーと冗長化設計の検討 |
ITサービスマネージャ(SM) | ITサービスの運用状況を管理・改善するための知識と管理手法を評価 | 運用責任者、SRE、IT運用部門の管理職 | ITIL、SLA、インシデント・変更・構成管理、継続性管理 | ・障害発生時の対応体制とその改善・SLA達成状況と評価方法・問題管理による再発防止 |
システム監査技術者(AU) | 情報システムの監査業務に必要な知識・スキルを持つ人材を評価 | 監査部門、CIO補佐、ガバナンス強化を担う人材 | 内部統制、リスク管理、IT監査、業務監査との連携 | ・不正リスク検出のための監査手続き・情報セキュリティ監査の記録と報告・統制プロセスの実行確認 |
情報処理安全確保支援士(SC) | セキュリティ対策の企画・運用・評価に関する能力を総合的に評価 | CSIRT、SOC、セキュリティ管理者、CISO支援 | 脆弱性対応、ゼロトラスト、暗号技術、法令対応、セキュリティ教育 | ・不正アクセス対応とログ分析による兆候検知・セキュリティポリシー整備と運用・標的型攻撃に対する防衛策と教育施策 |
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