国民民主党が公約として掲げていた「103万円の壁」だが、当初の予想に反して、あまり意味がないことになりそうだ。
もともとは、103万円の壁があるのでパートや学生が働く意欲がなくなるので、それをやる気にさせるために撤廃しようとしていた。しかし、よくよく議論を進めていくと、130万円には扶養控除の壁があり、パートや学生は130万円を超えると自分で年金を収めなくてはいけない。そのため、103万円の壁がクリアできても、130万円の壁が大きく、たった27万円の効果しかないのだ。これでも、25%程度は長時間できるが、そもそもパートや学生の人たちが多く働く職場が、日本の経済の中心だとは思えない。
この所得税の基礎控除をあげる話で、最もメリットがあるのが高給取りのサラリーマンだ。所得税は累進課税だから、稼げば稼ぐほど税率が上がっていく。103万円の壁は、所得税が0%から5%に上がる壁であるが、収入が上がっていけば税率は最大で45%にも増える。
以下は、課税所得金額(=収入から基礎控除を引いた額)の税率と控除額を示しているが、最大で45%の税率がかけられていることが分かるだろう。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から194万9,000円まで | 5% | 0円 |
195万円から329万9,000円まで | 10% | 9万7,500円 |
330万円から694万9,000円まで | 20% | 42万7,500円 |
695万円から899万9,000円まで | 23% | 63万6,000円 |
900万円から1,799万9,000円まで | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円から3,999万9,000円まで | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
今回は仮に、103万円から130万円に基礎控除が上がったときに、最大の45%の適用をされていた所得者は、27万円 x 45% = 12.15万円の税金が軽減される。一方で、5%の適用されている人の場合には、27万円 x 5% = 1.35万円の軽減になる。
そのために、今回は高所得者向けの優遇措置だと言われているのである。
また、公約では基礎控除を178万円にすることを示しているが、同様に最高税率の人は33.75万円の減税になるが、一方で103万円の壁を感じている人には、130万円しか働かなくなるだけなので、多くの人が期待していたパート時間の延長は、期待されていたほど伸びないはずである。
また、この減税により7兆円が不足するが、この手当については、特に具体的な話があるわけではない。国民民主党は、取りすぎていた税金があるので、大丈夫と言っているみたいだが、未だに新規国債は発行され続けており、取りすぎていた税金以上のサービスを、国は国民に対して提供しているのである。
結局は、国のサービスの提供を下げるしかないし、国の支出の殆どは社会福祉なんだから、ここのコストを下げる政策を実行しなくてはいけない。
しかし、残念ながら時間だけはたくさんある日本の高齢者は選挙にせっせと行って、自分の既得権益だけは守ろうとしている。まずは、日本の社会福祉にメスを入れるような政策を協議しないと、日本はますます活気のない国になっていくのだ。
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