国民民主党が103万円の壁の撤廃について公約に掲げて話題になっているが、それ以外にも様々な壁がることが分かってきた。
年収100万円程度では、一人で生きていくのは難しいだろう。なので、対象者のほとんどは世帯では別の収入があるパターンが多いと思われる。つまり、専業主婦や学生のバイトをしている人が影響の中心になると思う。
国民民主党は、専業主婦や学生のバイトの時間を伸ばして、足りない人材を補いたいという考えだと思われる。しかし、103万円の壁を撤廃しても、その後は106万円や130万円の壁が存在し、普通にバイトの人が106万円を超えたら、今度は国民年金の3号から、厚生年金にならなくてはならず、社会保障費の支払いが発生する。また、厚生年金はバイトの雇用者も半分を支出するので、雇用者も106万円を超える雇用は避けたいはずだ。しかし、現在は人手不足のため、人件費の負担が増えても、一人あたりの労働時間を伸ばす方向に動いているはずだ。
じゃ、106万円を超えた場合、バイトの人はどのくらいの負担をしなくては行けないのだろうか?
106万円の壁を超えた場合、標準報酬月額は通常88,000円となる。この金額を用いて計算すると:
88,000円 × 18.3% ÷ 2 = 8,052円 をバイトの人は負担しなくてはいけなくなる。時給1000円だとすると、8時間の労働だ。年収106万円の場合には、約88時間/月の労働をしているので、8時間の労働が社会保険に取られることになる。週に直せば、22時間/週 の場合には、2時間の労働が社会保障の負担になる。
今回の106万円の壁の撤廃は、やや誤解されて報道されているような気がする。リンク先のテーブルを見ると、今回の対象となるのは賃金の部分と企業規模の撤廃だ。しかも、学生は対象外となっている。
現在、多くの都道府県では最低賃金が設定されている。以下は関東圏の最低賃金だ。もしも、週20時間を1年間続ければ、20時間 x 52週 = 1040時間。東京都の場合だと、1163 x 1040 = 1,209,520円/年となり、賃金の条件はクリアできるのだ。
都道府県 | 2024年度最低賃金 | 前年からの上昇額 |
---|---|---|
東京都 | 1,163円 | 50円 |
神奈川県 | 1,162円 | 51円 |
埼玉県 | 1,078円 | 51円 |
千葉県 | 1,076円 | 51円 |
そのため、労働時間の条件と年収の条件は、ほぼ同じ意味のため労働時間の撤廃をする方針というのが、正しい理解だ。また、従業員51人以上の撤廃は、もしかしたら影響はあるかもしれないが。
しかし、今回の混乱は106万円の撤廃だろう。ほぼ同じ条件であるのであれば、労働時間の方を撤廃するほうがわかり易くないだろうか?。
なぜ、年収の方を撤廃するのかは、疑問が残る。
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