[2023年1月] 個人年金保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、 最も適切なものはどれ か。 なお、 いずれも契約者(=保険料負担者)、 被保険者および年金受取人は同一人とする。
- 確定年金では、年金受取期間中に被保険者が死亡した場合、 死亡給付金受取人が既払込保険料相当額から被保険者に支払われた年金額を差し引いた金額を死亡給付金として受け取ることができる。
- 10年保証期間付終身年金において、 被保険者の性別以外の契約条件が同一である場合、 保険料は男性の方が女性よりも高くなる。
- 変額個人年金保険では、 特別勘定における運用実績によって、 将来受け取る年金額等が変動するが、 年金受取開始前に被保険者が死亡した場合に支払われる死亡給付金については、 基本保険金額が最低保証されている。
- 生存保障重視型の個人年金保険 (いわゆるトンチン年金保険)では、 年金受取開始前に被保険者が死亡した場合に支払われる死亡給付金は、 既払込保険料相当額を超える金額に設定されている。
各選択肢の検討
選択肢1
確定年金では、年金受取期間中に被保険者が死亡した場合、死亡給付金受取人が既払込保険料相当額から被保険者に支払われた年金額を差し引いた金額を死亡給付金として受け取ることができる。
🔴 誤り。
- 確定年金は、年金受取人の生死に関係なく一定期間(例:10年)年金を支払うものです。
- 受取期間中に死亡した場合でも、残りの年金支払期間分は遺族に支払われます。
- 「既払込保険料相当額から年金額を差し引く」といった清算的な払い戻しではありません。
選択肢2
10年保証期間付終身年金において、被保険者の性別以外の契約条件が同一である場合、保険料は男性の方が女性よりも高くなる。
🔴 誤り。
- 一般に、女性の方が平均寿命が長く、年金を受け取る期間が長くなる可能性が高いため、
女性の方が保険料が高くなる傾向があります。 - よって、この選択肢は逆で、誤り。
選択肢3
変額個人年金保険では、特別勘定における運用実績によって、将来受け取る年金額等が変動するが、年金受取開始前に被保険者が死亡した場合に支払われる死亡給付金については、基本保険金額が最低保証されている。
✅ 正解。
- 変額個人年金保険では、運用成果によって将来の年金額が増減しますが、
- 年金開始前に被保険者が死亡した場合、最低限の死亡給付金(基本保険金額)が保証されている商品が一般的です。
- つまり、死亡時には「運用損があっても最低額は保障」という形です。
選択肢4
生存保障重視型の個人年金保険(いわゆるトンチン年金保険)では、年金受取開始前に被保険者が死亡した場合に支払われる死亡給付金は、既払込保険料相当額を超える金額に設定されている。
🔴 誤り。
- トンチン年金(Tontine-type annuity)は、「生き残った人に多く配分する」ための設計です。
- このため、死亡給付金は非常に少ないか、ゼロ、あるいは既払込保険料未満に抑えられている場合も多い。
- よって、「超える金額に設定されている」は誤り。
✅ 結論:正解は 3
変額個人年金保険では、年金受取開始前の死亡時には基本保険金額が最低保証されている。
「トンチン年金保険」とは
生存者に有利な設計がされた個人年金保険で、長生きすればするほど多く年金を受け取れるという特徴を持っています。
🧠 名前の由来
「トンチン年金(Tontine Annuity)」という名称は、17世紀のイタリア人銀行家 ロレンツォ・トンティ(Lorenzo Tonti) に由来します。
彼が提案した「長生きした人が年金資産を多く受け取れる仕組み」が起源です。
🔍 トンチン年金の仕組み
通常の年金保険 | トンチン年金保険 |
---|---|
死亡すると遺族に死亡給付金が出る | 死亡時の給付は少ない or ない |
一定の年金が支払われる | 長生きするほど多く年金が受け取れる |
受取総額はある程度均等 | 早く亡くなる人の分が長生きした人に回る |
✅ 特徴まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 長生きリスク(長寿化による老後資金不足)に備える |
保険料 | 一時払い or 積立型がある |
年金受取 | 例えば「○歳までに死亡した場合は年金なし」「○歳以降は年金受取開始」など |
死亡保障 | 少ない or なし(その分、年金に回される) |
リスクとリターン | 長生きすればするほど「お得」短命だと「損」をする可能性あり |
💬 こんな人に向いている
- 「長生きが心配。老後の生活資金を確保したい」
- 「死亡保障は必要ない。自分の老後のために備えたい」
- 「公的年金以外の長期的な年金を持ちたい」
📌 注意点
- 相続人にとっての死亡給付金がほとんどないため、「家族にお金を残したい」目的には不向き。
- 加入時に医的審査が必要な場合もあり。
🏦 例:日本で販売されたことのあるトンチン年金
- 明治安田「長寿支援終身年金」
- ソニー生命「ながいき支援終身年金」
など、主に「長寿支援型」として販売されています。
🔍 特徴と仕組み
- 死亡保障は抑え目 or なし
「途中死亡しても死亡給付金はほとんど出ない」設計が一般的です。 - 年金受取額が長生きで大きくなる
たとえば、10年保証付きの終身年金で、早く亡くなると元取れないのに比べて、80代後半以降に長生きすれば返戻率が140〜150%台になる例も。(nissen-life.co.jp) - 高齢長生きリスクへの備え
公的年金と違い、「死亡するまで年金が続く安心感」がメリットですが、80〜90歳以上を見据えた商品とされています。(nissen-life.co.jp) - 保険料は高め
亡くなるギリギリまで生きて取り戻せるように、一般的な年金保険より保険料は高めです。
💡 加入例と返戻イメージ(ニッセンライフ)
- 加入条件例
- 年齢:50歳
- 5年保証期間付き終身年金
- 年金額:年間60万円
- 保険料(月払い)
- 男性:約5万 790円/月 → 累計約1,218万円
- 女性:約6万 2,526円/月 → 累計約1,500万円
- 元を取れる年齢
- 男性:90歳
- 女性:95歳
- 100歳時の返戻率
- 男性:約147.7%
- 女性:約120.0%(nissen-life.co.jp)
✅ メリットと注意点
メリット
- 長生きすれば非常にお得になる
- 公的年金の補完として有効
- 年金が生存中ずっと続く安心感あり
注意点
- 早く亡くなると「払い損」となる可能性あり
- 保険料は高額
- 途中解約すると返戻率も下がる
- インフレに弱い設計(固定額のため)
👤 向いている人
- 長生きリスクに備えたい方
- 死亡保障よりも老後の収入確保を優先したい方
- 公的年金だけでは不安な方
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