FP2級 所得税における損益通算

[2020年9月] 所得税における損益通算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 

  1. 上場株式を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、総合課税を選択した上場株式の配当所得の金額と損益通算することができない。 
  2. 終身保険の解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、給与所得の金額と損益通算することができない。 
  3. 青色申告の承認を受けていない納税者の事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。 
  4. 別荘を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、 他の各種所得の金額と損益通算することができない。 

この問題の**正解(=最も不適切なもの)は「3」**です。


✅ 各選択肢の検討と解説


❌ 3. 不適切(正解)

青色申告の承認を受けていない納税者の事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。

誤りです。

事業所得の損失については、青色申告か白色申告かを問わず、原則として損益通算が可能です(※例外あり)。

したがって、この選択肢は明確に誤っており、「最も不適切なもの」として正解です。


✅ 1. 正しい

上場株式を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、総合課税を選択した上場株式の配当所得の金額と損益通算することができない。

正しいです。

  • 上場株式の譲渡損は、「申告分離課税」に該当。
  • 配当所得は総合課税または申告分離課税を選択できますが、課税方式が異なると損益通算できません
  • よって、「総合課税の配当所得」とは損益通算不可です。

✅ 2. 正しい

終身保険の解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、給与所得の金額と損益通算することができない。

正しいです。

  • 一時所得における損失(マイナス)は、そもそも他の所得との損益通算ができません
  • 所得税法上、「損益通算できるのは4種類の所得の赤字」だけです(後述)。

✅ 4. 正しい

別荘を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。

正しいです。

  • 生活に通常必要でない資産」の譲渡損失(=別荘、ゴルフ会員権など)は、損益通算の対象外とされています。

🔎 補足:損益通算できる所得の赤字は?

所得税法では、次の4つの所得における損失は、他の所得と損益通算可能です(ただし制限あり):

  1. 不動産所得
  2. 事業所得
  3. 山林所得
  4. 譲渡所得

ただし、生活に通常必要でない資産などの譲渡は対象外。


✅ 結論(正解)

選択肢判定解説
1課税方式が異なるため通算できない=正しい。
2一時所得の損失は損益通算できない=正しい。
3白色申告でも事業損失は通算できる=誤り=正解。
4別荘は「生活に通常必要でない資産」→通算不可=正しい。

ご不明な点があれば、損益通算や繰越控除などについても詳しくご説明できます!

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