FP2級 建物の区分所有等

[2020年1月] 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 規約を変更するためには、 区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要となる。
  2. 区分所有建物のうち、 構造上の独立性と利用上の独立性を備えた部分は、区分所有権の目的となる専有部分の対象となり、 規約によって共用部分とすることはできない。
  3. 区分所有者以外の専有部分の占有者は、 建物またはその敷地もしくは附属施設の使用方法について、 区分所有者が規約または集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
  4. 共用部分に対する区分所有者の共有持分は、 規約に別段の定めがない限り、各共有者の専有部分の床面積の割合による。

各選択肢の検討


✅ 選択肢1

規約を変更するためには、 区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要となる。

🔍【解説】

  • 区分所有法第31条第1項によれば、規約の変更には、
    • 区分所有者数の4分の3以上かつ
    • 議決権総数の4分の3以上の集会決議が必要です。

正しい記述

❌ 選択肢2(不適切・正解)

区分所有建物のうち、構造上の独立性と利用上の独立性を備えた部分は、区分所有権の目的となる専有部分の対象となり、規約によって共用部分とすることはできない。

🔍【解説】

  • 構造上・利用上独立していて専有部分となる部分でも、規約で共用部分に指定することは可能です。
  • これは区分所有法第4条で明確に認められています(=「規約共用部分」の制度)。
  • たとえば、集会室やゲストルームなどがその例です。

誤り(=最も不適切)


✅ 選択肢3

区分所有者以外の専有部分の占有者は、 建物またはその敷地もしくは附属施設の使用方法について、 区分所有者が規約または集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

🔍【解説】

  • 区分所有法第6条第2項により、区分所有者以外の占有者(たとえば賃借人など)も、使用方法等について同じ義務を負うとされています。

正しい記述


✅ 選択肢4

共用部分に対する区分所有者の共有持分は、 規約に別段の定めがない限り、各共有者の専有部分の床面積の割合による。

🔍【解説】

  • 区分所有法第14条により、共用部分の持分割合は、原則として床面積割合に比例
  • ただし、規約で異なる定めをすることも可能です。

正しい記述


✅ 結論

選択肢正誤解説
1規約変更には区分所有者・議決権ともに4分の3以上の同意が必要。
2正解(不適切)規約で専有部分も共用部分にできる(規約共用部分の制度)。
3占有者も区分所有者と同じ使用義務を負う。
4共用部分の持分割合は床面積割合(原則)。

正解:選択肢2

「構造上および利用上の独立性を備えた部分」であり、専有部分となる部分の具体例


🏢 専有部分とは?

区分所有法において「専有部分」とは、
構造上・利用上独立した一個の建物の部分で、個別に所有権の対象となる部分のことをいいます(区分所有法第1条・第2条)。


🧱 具体的な例

✅ 専有部分になり得るもの(構造上・利用上独立)

説明
各住戸の室内(リビング・寝室・キッチン・浴室・トイレなど)各住戸は壁・床・天井で囲われており、出入口も専用であり、他の住戸とは独立して使用できるため
事務所・店舗スペース(区分所有されている場合)外部とは扉や壁で仕切られ、独立して機能・使用できる場合は専有部分

これらは「自分のカギでロックできる空間」「中で生活・仕事が完結できる空間」といった性質を持っています。


❌ 共用部分となる部分(専有部分ではない)

部分理由
エントランスホール・廊下・階段他の住戸と共用して使う部分で、独立して利用できない
外壁・屋根・天井裏・構造体(柱・梁など)建物全体の支持構造であり、個別使用できない
エレベーター・ゴミ置き場・共用トイレ複数人で使用することが前提の設備

💡 ポイント:独立性とは?

  • 構造上の独立性:壁・床・天井で他と仕切られていること(1戸ごとに閉じられている)。
  • 利用上の独立性:トイレやキッチンなどを含め、その空間だけで日常生活または業務が成立すること。

🏠 補足:規約で共用部分にできる場合(=規約共用部分)

  • 本来は専有部分になり得る(独立性がある)部屋を、規約で共用部分として指定することも可能です。
    • 例:集会室、ゲストルーム、管理人室など

✅ まとめ

区分具体例区別の理由
専有部分各住戸、区分店舗、区分オフィス構造・利用の独立性があり、単独使用できる
共用部分廊下、階段、外壁、エレベーター他者と共用し、単独で使えない/維持に関係する

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