[2023年5月] 都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 建築基準法第42条第2項により道路境界線とみなされる線と道路との間の敷地部分 (セットバック部分) は、 建蔽率および容積率を算定する際の敷地面積に算入することができない。
- 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域または田園住居地域内における建築物の高さは、原則として、 10mまたは12mのうち都市計画で定められた限度を超えることができない。
- 近隣商業地域、商業地域および工業地域においては、 地方公共団体の条例で日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限) の対象区域として指定することができない。
- 建築物が防火地域および準防火地域にわたる場合においては、原則として、 その全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用される。
各選択肢の検討
✅ 選択肢1
建築基準法第42条第2項により道路境界線とみなされる線と道路との間の敷地部分(セットバック部分)は、建蔽率および容積率を算定する際の敷地面積に算入することができない。
🔍【解説】
- 建築基準法第42条第2項の「2項道路」においては、セットバック部分は将来の道路とみなされるため、敷地面積に含めない。
- よって、建蔽率・容積率の計算に含められないのは正しいです。
✅ 適切
✅ 選択肢2
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域または田園住居地域内における建築物の高さは、原則として、10mまたは12mのうち都市計画で定められた限度を超えることができない。
🔍【解説】
- 建築基準法および都市計画法により、上記の3地域では**高さ制限(絶対高さ制限)**として「10mまたは12m」のどちらかが都市計画で定められます。
- よって、超えることはできないという表現は正しい。
✅ 適切
❌ 選択肢3(正解)
近隣商業地域、商業地域および工業地域においては、地方公共団体の条例で日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)の対象区域として指定することができない。
🔍【解説】
- これは誤りです。
- 日影規制(建築基準法施行令第135条の2)は、次の地域を原則対象とします: 「第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・準工業地域等」
- さらに、近隣商業地域・商業地域・工業地域でも、地方公共団体の条例で日影規制の対象区域に指定することが可能です(施行令第135条の2第1項但書)。
📌 よって、「できない」とするこの記述は明確に不適切です。
✅ 選択肢4
建築物が防火地域および準防火地域にわたる場合においては、原則として、その全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用される。
🔍【解説】
- 防火地域と準防火地域の両方にまたがる場合、**厳しい方(=防火地域)**の規制が適用されます(原則全体に適用)。
- これは火災安全の観点から合理的で、建築基準法上も正しい運用です。
✅ 適切
✅ 結論
選択肢 | 判定 | 理由 |
---|---|---|
1 | ✅ | セットバック部分は面積に含めない。 |
2 | ✅ | 低層地域では10mまたは12mの高さ制限がある。 |
3 | ❌ 正解(不適切) | 条例により日影規制の対象に指定できる地域である。 |
4 | ✅ | 防火・準防火地域にまたがる場合は防火地域の規制が適用される。 |
正解:選択肢3 ✅
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