投資する際に、何を基準に投資をする?
多くの日本人は投資が下手だと思う。下手というよりも、馴染みがないというのが正解かもしれない。投資の中心は、株式の売買だ。株式は、相対に売買できるケースもあるが、大量に売買したい場合には、取引所に上場されている株を売買するのだ。株式は相対で株式を発行するよりも、取引所を経由して株式を発行するほうが遥かに大きな資金を得ることができる。株主は、取引所を経由して株を売買できるため、いきなり現金が欲しくなった場合でも、売買することが可能となる。
じゃ、取引所経由で株を買いたい場合には何を買えばいいのか?。答えは価格が上がりそうな株だ。しかし、ほとんどの人はどの株が上がるのかわからない。わかれば、誰も苦労はしない。
株式の売買には、”売る阿呆に、買う阿呆”とか”自分よりバカで高く買ってくれる人を見つける”とか言われている。前のフレーズの意味としては、売る人はこれ以上、上がらないと思って売るし、買う人はこれから上がると思って買う。つまり、売る人は買う人に対して、”この株はもう上がらないのに買ってくれる人がいるんだな”と相手をバカにして売る。買う人は、”これから上がる株なのに、この価格で売ってくれるバカがいる!”と思って買うのだ。売買は、お互いがお互いに馬鹿にしながら成立しているのだ。後のフレーズも同じような意味だ。
じゃ、どの株が上がるのだろうか?。それは株が上がると思っている人が多い株が上がる。つまり人気投票のようなものだ。アイドルの人気と同じと思っていいだろう。取引所に上場している株というのは、事務所に所属しているタレントと同じで、情報が開示されている。四半期ごとに会社の成績である収益と資産の状況が開示されている。これを見ながら、株価が上がりそうなものを見つけていくのだ。もちろん、いい会社であれば十分に高くなっている可能性はある。その株価と現在の収益および資産の状況を比較して株を売買していくのだ。
しかし、多くの人はこう考えるに違いない。すでに人気の株は高くなっていて、これ以上、上がる気配はないのではと。人気のタレントがいて、その人を推したいと思って握手券を買おうとしても、すでに長い行列が予想できるのと同じだ。
じゃ、どうすればいいのか?。一つは、人が予想している業績よりも、更にいい業績があることを期待すること。後は情報開示前に、つまり上場前に株を買うことだ。
前者は、まず不可能だ。確かにそのような株はあることはある。ただし、機関投資家というプロの集団が目を光らせている。いわゆるアイドルの熱狂的なファンと言えるだろう。一方で、上場前に買う場合には、創業者、もしくは事前に役員や従業員になり株の割当をもらうしかない。ベンチャー起業の大変さは、周知の通りである。どうなるかわからないようなアイドルを応援するのと同じになる。
じゃ、どうやって投資をすればいいのか?
機関投資家ではない我々はどうすればいいのだろうか?。一つは、機関投資家がカバーしていない会社を調べて、収益が上がりそうな株を買うことだ。今ならば、マザーズのような新興株の市場が存在しているので、ここから買えばいい。もう一つは、上がりそうな個別株への投資を諦めることだ。個別株は機関投資家が目を光らせているので、それに勝つのは難しいだろう。
改めて個人投資家と機関投資家の違いについて考えてみると、何が挙げられるだろうか?。大きな差は、時間だ。機関投資家は、四半期に1回の収益の開示が必要になる。そのため、安定的な収益が必要になるのだ。長期的にはプラスの収益になるが、短期的には下がる可能性がありそうな商品には手が出せないのだ。短期的にマイナスになってしまった商品については、早期に損切りせざるを得ない。一方で、個人投資家は、短期的にマイナスになってしまい、でも一時的で、今後は上昇しそうな商品については、我慢ができる。我慢をしてマイナスのままでいられるのだ。しかも、市場は明らかに気まぐれだ。マイナスになっても、急に復活することもある。その稲妻のようなプラスの局面に、市場にいることが大事なのである。
個人投資家は、以下のようなことが言えるだろう
- 個別銘柄はだめ
- マイナス局面でも我慢できる(ただし、今後の上昇が見込める場合)
これにピッタリ合う商品が市場インデックスのファンドになる
市場インデックスって何?
市場インデックスは、市場の平均だ。市場全体を買っていた場合に、どのくらい儲けることができるのかを計算したものが市場インデックスになる。情報は誰でも手に入る。上場している銘柄と、その発行の株式だ。それをその日の時価で全部買えば再現は可能となる。そこに予想はない。企業の資産や収益の情報も必要がない。
具体的な例としては、TOPIXだろう。TOPIXは東証一部に上場している株の時価総額平均の指数だ。これは日本の企業に投資した際の平均点の指数となる。しかし、日本の場合には日経平均指数のほうが有名かもしれない。これは、日本の代表的な225社に一株ずつ投資した際のパフォーマンスとなる。
銘柄の入れ替えは、TOPIXは上場したら組みいられるし、上場廃止になればTOPIXから外れる。一方で、日経平均の方は日本経済新聞社が決めて、定期的な入れ替えを行い代表的な225銘柄を維持する。TOPIXは自然淘汰、日経平均は日経新聞の意図が若干入っていると言える。
上記の話は、日本の株式の話だ。”市場”=”日本の株”にした場合には、上記のような話になる。一方で、市場は他にもたくさんある。日本でも、債券市場もあるし、海外の取引所もある。そこを市場と考えれば、いろんな指数ができるのだ。
最も有名な指数は、ダウ平均だろうか。これは日経平均と同じでアメリカの代表的な会社を30社集めて作った指数だ。昔からある。
SP500という指数もよく聞かないだろうか?。これは、アメリカの有名な会社の500社を集めた指数であり、非常に有名だ。マイクロソフトやアップル、アルファベット(Google)も含まれている。もちろん全米株指数というのもあるが、SP500とのパフォーマンスは僅差だ。
上記は局所的な指数だ。もっと大きく投資できる株を対象とした指数だって作成可能だ。MSCI All Country World Index と FTSE Global All Cap Indexがよく知られれている。2つの指数は、若干、差はあるものの過去のパフォーマンスにはほとんど差がない。全世界株指数と言われる。
なんで市場インデックスへの投資がいいの?
市場インデックスへの投資は、個別企業に対する期待ではない。市場全体への期待だ。つまり、TOPIXに投資をする場合には、日本企業全体への収益向上の期待を表している。日本のある企業だけではなく、その企業がだめになっても、他の企業の収益が上がることを期待しているのだ。
同じように全米株式市場にかける場合には、全米の企業の収益向上に期待しているのだ。全世界株については、全世界規模で成長を期待しているということになる。
市場全体にかければ、タイミングを図らなくてもいいというメリットもある。個別企業であれば、これから収益を得る前のタイミングで買って、収益が上限になり、低下していく前のタイミングで売ることが大切だ。だが、様々な個別企業に投資をしているインデックス運用であれば、タイミングを図ることは意味をなさない。たまたま偶然的に市場インデックスが下がることがあるが、ほとんどの場合には上がっている。暴落を待っていても、そんな幸運はそうそうはない。暴落が起きるのは、今までも経験したことがない出来事が起きた場合だけだ。例えば、コロナショックとか、リーマンショックとか、予想もしなかったことが起きたことぐらいだ。プロがいつも見ている市場では、そうそうは起きない。
じゃ、市場インデックスをどうやって買えばいいの?
現在では、市場インデックスを一括で買うことが推奨されている。今後、10年程度は使わないお金があれば、それを市場インデックスにかけるファンドを買えばいい。今ならば、たくさん存在している。
昔はドルコスト平均法が推奨されていた。価格が下がった場合には、たくさんの株が買えるし、上がっているときには順調に株を買えているからだ。しかし、これは上下を繰り返して、最終的には株が上がる場合だ。今は、上昇するファンドに対しては一括投資が合理的と言われている。
自分でもシミュレーションをしたことがある。SP500を投資対象として、15年の投資期間を考えて、当初5年に分けて分割で投資して15年後の資産の上がり具合と、15年のはじめに一括で投資した場合のパフォーマンスの差だ。
結果としては、80%のケースで一括投資がパフォーマンスが良かった。悪かった20%の殆どは1930年代の世界恐慌のときやリーマンショック前に一括投資をしたときだけで、ほとんどは指数は上昇している。ドルコスト平均法の場合には、その上昇を機械収益をのがしてしまうのだ。
結論はこうだ
結局、個人投資家のような情報を持てない人たちは以下のような戦略しかないと思っている。
- 15年程度、使わないお金を貯める。もしくは15年程度、働くことを前提で余裕があるお金を作る
- そのお金ができたら、全米株もしくは全世界株ファンドを買う
- お金が必要になったときに上記のファンドを解約する
ただし、上記ができる人はあまりいないだろう。15年も使わないお金を貯めることができる人は、ごくごく僅かだ。おそらく上位1%もいないと思う。そのため、働くことを前提に生活に必要となる分を除いた余剰資金を投資すればいい。マーケットが上昇しようが、下降しようが、無視できる余剰資金だ。
そして、投資したことは忘れよう。相場の上下に、自分の心を病むことはない。つまり、忘れよう。合理的な人であれば、それができるはずだ。
合理的な人は、自分の要望や感情に振り回されることなく、また市場の上下にも振り回されることなく行動すればいい。周りがどんな状況になろうとも、生活が変わらないように生きていけばいいだけだ。
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