国には会計が2種類ある
一般会計と特別会計だ。一般会計は、税金にて国民から徴収したお金を配分する会計。所得税や住民税、法人税等はこちらで会計処理を行う。一方で、特別会計は国が行っている事業に関する会計だ。年金や医療については特別会計だ。
じゃ、どちらの会計が規模が大きいのだろうか?。特別会計というぐらいだから、ある程度特殊な会計なのだから、特別会計のほうが小さいとイメージされるかもしれない。つまり、一時的な会計という印象だ。もしくは、特別なんだから、一般よりかは大きいのではと思うかもしれない。一般の人より特別な人のほうが、なんだかでかいことをしそうだからだ。
正解は、圧倒的に特別会計のほうが大きい。
一般会計は、年間の歳出・歳入は114兆円だ。一方で、特別会計は年間で467兆円だ。特別会計の場合には、会計上のやり取りや国債の借り換えで250兆円あるので、これを除いて218兆円となるが、それでも一般会計の2倍の規模だ
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/002.pdf
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2022/seifuan2022/24.pdf
一般会計の内訳は?
会計のため、歳入と歳出がある。歳入は、税金での収入額で、歳出はその使い道だ。
まずは、歳出を見てみよう
- 一般歳出 72.7兆円 (64%)
- 地方交付金 16.3兆円 (14%)
- 国債費 25.2兆円(22%)
一般歳出は、税金の国民に対する使用目的だ。また、地方交付金は、地方自治体への補助だ。16兆円も地方に送金していることが分かる。かなり巨大な金額であり、これがなければ破産する地方自治台が大量に存在する。また、国債費については借金の支払いやその利息に対する支払いに使われる。
ここを読んで、皆さんはどう思うのだろうか?。思ったよりも地方にお金を送っているし、借金への支払いも多いとは思わないだろうか?。
しかし、驚くべきは一般歳出の使い道だ。以下に一般歳出の内訳を書いてみた。その内訳の半分は社会保障費になっている。防衛費はその次だ。公共事業や文教費については、10兆円程度しかない。
- 社会保障費 36.8兆円 ( 51%)
- 防衛費 10.2兆円(14%)
- 公共事業費 6兆円 (8%)
- 文教 5.4兆円 ( 7%)
- その他 14兆円(20%)
税金の使い道のうち、社会保障費が最も多い。次に国債費、そして地方交付金だ。簡単に言うと、医療費と年金受給者への送金が最も多く、次に借金の返済、そして地方に住む知り合いへの送金が3番めに多いということだ。この事実を聞いてどう思うだろうか?。
私は、稼いだサラリーマンから高額の税金を徴収し、怪我をした人への支払い、年金受給者への支払い、国の借金の支払い、地方の知り合いへの送金をしているイメージができてしまう。稼いだサラリーマンにとっては、いいことがほとんどない気がしないだろうか?。
次は歳入を見ていこう。つまり、国の収入だ。内訳は以下の通りとなる。
- 租税 69.4兆円 (61%)
- その他 9.3兆円 (8%)
- 公債金 35.6兆円 (31%)
全体から見ると、6割が税金だ。その他からの収入もある。ただし、30%程度は国債の発行により調達していることが分かるだろう。借金をしないと、歳出が賄えないのだ。
一般会計の歳出と歳入について簡単に調べてきた。私の勝手なイメージとしては、徴収した税金は将来への国民への投資に使われいると思っていた。昔であれば、公共事業になるだろうか。道を作ったり、橋を作ったり。今では、大学とかの研究費に多く使っていると考えていた。しかし、現状は以上の通り、日本の将来のために使っている金額は僅かなのだ。ほとんどは社会保障と借り入れの返済、地方への送金で占めている。この状況を見て、皆さんは驚かないだろうか?
この状況は、決して非難されるべきものではない。社会保障は必要だし、安心して生活するためには医療費の補助はありがたい。借金も返済をしなくては行けないのだ。でも、それで大半を占めてしまう状況に、びっくりしないだろうか?
特別会計の内訳は?
それでは、一般会計の2倍の規模の特別会計の内訳はなんだろうか?
歳出を見てみると以下の通りだ。
- 国債費 92.9兆円 (43%)
- 社会保障 73.6兆円 (34%)
- 財投融資資金の繰入 25兆円 (11%)
- 地方交付金 19.8兆円 (9%)
- その他 6.6兆円 (3%)
ここでも、国債費が出てくる。また、社会保障も特別会計にある。財投債は名前が違うが国債での借り入れのことだ。
歳入について調べてみると以下の通りだった。合計が合わないのは不思議で仕方がないが。
- 国債 222兆円
- 一般会計 56.4兆円
- 保険料 47.9兆円
一般会計と特別会計を一緒に考えたほうが良くない?
一般会計と特別会計は、お金が入り組んでいるし、お互いにお金を融通しあっている。そうなると、一緒にしたほうがいいのではという発想が出てくると思う。つまり、同じ家のお金なんだから同じお財布にすればいいという発想だ。
これは、純計ベースということで、すでに財務省から計算がされている。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/special_account/fy2022/2022-souron-4.pdf
これによると歳入は以下の通りだ。
- 税金 70.1兆円 (25.8%)
- 保険料 47.9兆円 (17.6%)
- 資金等 26.8兆円 (9.9%)
- 利息 3.7兆円 (1.4%)
- その他 16.2兆円 (6.0%)
- 国債(借入) 106.7兆円 (39.3%)
国の歳入は税金と保険料の徴収だけでは40%程度に過ぎない。同じ程度の金額を借金に頼っている。日本国は国民に対する税金による徴収権を持っているため、簡単に借金ができるのだ。そのため、簡単に借金をするための国債の発行ができる。
じゃ、借金をしてまで何をしているのか?。次に歳出を見ていこう。
- 社会保障 97.4兆円 (36.1%)
- 地方交付税 19.7兆円 (7.3%)
- 公共事業 6.4兆円 (2.4%)
- 文教 5.4兆円 (2.0%)
- 防衛 5.4兆円 (2.0%)
- その他 42.7兆円 (15.8%)
- 国債費(返済) 92.7兆円 (34.4%)
使いみちのナンバー1は社会保障だ。100兆円近い歳出をしている。その次が国債の返済に使っている。その次は地方交付だ。つまり、社会保障、借金の返済、地方への支援で200兆円を超えるのだ。これで国の歳出全体の80%を占めるのだ。
公共事業や文教、防衛については、全部合わせても7%にしか過ぎない。びっくりしないだろうか?。その他も16%あるが、ここは少し不明だ。別の日に少し調べてみたい。
重要なのは、まだ借金は増えていること。借金の返済もまだまだ多いこと。また、社会保障にお金をたくさんかけていること。
この状況を見ると、現役世代が不平不満を持つのは当たり前だ。給料から強制的に天引きされて、医療費と借金に当てられる。自分が病気になったり、年金をもらえる世代になれば、ありがたいと思うのだろうけれども、それまでは税金が自分のために使われいるという感覚はないだろう。元気でいればいるほど、不平感は募るはずだ。
今から生まれた人たちにとってプラスになるようなお金の使い方が重要だ。今後も日本で生まれて、これから生きていく人たちが希望を持てるような使い方が望ましい。もちろん、今の自分には、どうすればいいのかのアイディアはない。だからこそ、多くの人に現実を知ってもらい、議論をしていく必要があると考えている。
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