公的年金等に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。[2023年5月]
- 遺族基礎年金および遺族厚生年金は、所得税の課税対象とならない。
- 老齢基礎年金および老齢厚生年金は、その年中に受け取る当該年金の収入金額から公的年金等控除額を控除した金額が雑所得として所得税の課税対象となる。
- 確定拠出年金の老齢給付金は、その全部について、 一時金として受給する場合は一時所得として、年金として受給する場合は雑所得として所得税の課税対象となる。
- 老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合において、その者に支給されるべき年金給付のうち、 まだ支給されていなかったもの (未支給年金) は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。
この設問において、最も不適切なものは「4」です。
各選択肢の解説:
✅ 1. 適切
遺族基礎年金および遺族厚生年金は、所得税の課税対象とならない。
- 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)は、非課税所得として取り扱われます。
- 所得税・住民税の課税対象外。
- よって、この記述は正しいです。
✅ 2. 適切
老齢基礎年金および老齢厚生年金は、その年中に受け取る当該年金の収入金額から公的年金等控除額を控除した金額が雑所得として所得税の課税対象となる。
- 老齢年金(基礎+厚生)は、雑所得として課税対象です。
- ただし、年金収入には年齢や収入に応じた「公的年金等控除」が適用されます。
- 控除後の金額が課税対象になるため、この記述は正しいです。
✅ 3. 適切
確定拠出年金の老齢給付金は、その全部について、一時金として受給する場合は一時所得として、年金として受給する場合は雑所得として所得税の課税対象となる。
- 確定拠出年金(iDeCo等)の給付は、
- 一時金受取:一時所得(退職所得扱いになる場合もあり)
- 年金受取:雑所得
- 課税方法は受け取り方により異なりますが、原則的な説明としては妥当。
- よって、この記述も正しいです。
❌ 4. 不適切
老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合において、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの (未支給年金) は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。
- 未支給年金は、死亡した本人の所得ではなく、相続人が受け取るべき債権の相続財産とみなされます。
- そのため、所得税の課税対象ではなく、相続税の課税対象です。
- よって、「一時所得として課税」というのは誤りです。
結論:
正解:4(最も不適切な記述)
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