[2022年9月] 不動産鑑定評価基準における不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、 原価法、 取引事例比較法および収益還元法に大別され、鑑定評価に当たっては、 対象不動産に係る市場の特性等を考慮し、 これらのうち最も適した1つの手法に限定して適用することとされている。
- 最有効使用の原則は、 不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として不動産の価格が形成されるとする原則である。
- 原価法は、 価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、 この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の価格を求める手法である。
- 収益還元法は、 対象不動産が賃貸用不動産である場合だけでなく、自用の不動産であっても、賃貸を想定することにより適用されるものであるとされている。
各選択肢の検討:
1. ❌ 不適切
「鑑定評価に当たっては、…これらのうち最も適した1つの手法に限定して適用することとされている」
→ 誤りです。
不動産鑑定評価基準では、対象不動産の特性、市場の状況、利用の実態等を考慮して複数の手法を併用し、相互に関連づけて総合的に判断することが原則とされています。
「最も適した1つの手法に限定する」というのは、原則に反するため不適切です。
2. ✅ 適切
「最有効使用の原則は、…」
→ 正しい記述です。
不動産の価格は、その時点において最有効使用(最高かつ最良の利用)を前提に形成されるとされており、この原則は不動産評価の基本的考え方です。
3. ✅ 適切
「原価法は、再調達原価を求め、減価修正を行って…」
→ 正しい記述です。
原価法は、建物などの再調達原価から物理的・機能的・経済的な減価(老朽化や陳腐化等)を控除して価格を求める手法です。
4. ✅ 適切
「収益還元法は、…自用の不動産であっても、賃貸を想定することにより適用される…」
→ 正しい記述です。
たとえ自用不動産であっても、市場における収益性(賃貸可能性)を想定して評価する場合には、収益還元法を用いることができます。
結論:
最も不適切な記述は「1」です。
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