[2023年5月] 会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 会社が株主総会の決議を経て役員に対して退職金を支給した場合、その退職金の額は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、その会社の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる。
- 会社が役員に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。
- 役員が所有する土地を適正な時価の2分の1未満の価額で会社に譲渡した場合、その役員は、適正な時価により当該土地を譲渡したものとして譲渡所得の計算を行う。
- 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、原則として、 通常の賃貸料相当額が、その役員の雑所得の収入金額に算入される。
各選択肢の検討:
1.
会社が株主総会の決議を経て役員に対して退職金を支給した場合、 その退職金の額は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、 その会社の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる。
→ 適切
- 役員退職金は、不相当に高額な部分を除いて損金算入可能です。株主総会の決議も正しい手続きです。
2.
会社が役員に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、 通常収受すべき利息に相当する金額が、 その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。
→ 適切
- 無利息貸付は経済的利益の供与とみなされ、通常受け取るべき利息相当額は会社の益金に算入されます。
3.
役員が所有する土地を適正な時価の2分の1未満の価額で会社に譲渡した場合、その役員は、適正な時価により当該土地を譲渡したものとして譲渡所得の計算を行う。
→ 適切
- 時価の1/2未満で譲渡された場合は、実際の譲渡価額ではなく「時価」で譲渡したものとして課税されます(時価譲渡課税)。
4.
役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、原則として、 通常の賃貸料相当額が、 その役員の雑所得の収入金額に算入される。
→ 不適切
- 社宅提供による経済的利益は、原則として役員の給与所得(現物給与)に該当します。雑所得ではありません。
正解:
4. が最も不適切。
理由:社宅の無償提供による利益は「雑所得」ではなく「給与所得」として課税されます。
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