FP2級 保険料の経理処理

[2020年9月]法人を契約者(=保険料負担者) とする生命保険に係る保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 なお、 いずれも保険料は年払いで、いずれの保険契約も新たに締結したものとする。

  1. 被保険者が役員・従業員全員、 死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険 金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その2分の1相当額を資産に 計上し、残額を損金の額に算入することができる。
  2. 被保険者が役員、 死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
  3. 被保険者が役員、 死亡保険金受取人が法人で、 最高解約返戻率が80%である定期保険 (保険期間10年) の支払保険料は、 保険期間の前半4割相当期間においては、 その40%相当額を資産に計上し、 残額を損金の額に算入することができる。
  4. 被保険者が役員、 給付金受取人が法人である解約返戻金のない医療保険の支払保険料は、 損金の額に算入することができる。

🔍 各選択肢の検討

選択肢1

被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

適切

  • 法人が契約者で、養老保険の死亡保険金は遺族、満期保険金は法人に支払われる契約形態は、いわゆる「福利厚生型養老保険」。
  • この場合、保険料の1/2を損金算入、残り1/2を資産計上する取扱いが法人税基本通達で認められています。

選択肢2

被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。

適切

  • 終身保険は原則として貯蓄性が高く資産計上対象
  • 死亡保険金受取人が法人であれば、全額が将来の収入となるため、全額を資産(保険積立金)として処理します。

選択肢3

被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が80%である定期保険(保険期間10年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

不適切 → 正解

  • 解約返戻率が70%超~85%以下の定期保険の保険料処理については、
    法人税基本通達【9-3-5】に基づき、以下のように定められています:

    🔹【対象保険】
    法人契約の定期保険・第三分野保険等で
    最高解約返戻率が70%超~85%以下

    🔹【経理処理方法:期間比例按分法(前半4割ルール)】
    保険期間
    保険料の取り扱い
    保険期間の前半4割相当期間
    保険料の60%を資産計上40%を損金算入
    保険期間の後半6割相当期間
    全額損金算入可

    つまり、「前半4割期間については60%を資産、40%を損金にする」という記述は、
    法人税基本通達に基づく正しい処理方法です。

選択肢4

被保険者が役員、給付金受取人が法人である解約返戻金のない医療保険の支払保険料は、損金の額に算入することができる。

適切

  • 解約返戻金のない医療保険(損害保険的性格)で給付金受取人が法人であれば、原則として全額損金算入可能です。
  • 法人税基本通達で明確に取り扱いが認められています。

✅ 結論:正解は 3

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