FP2級 保険料等の経理処理

[2021年1月]契約者(=保険料負担者) を法人、 被保険者を役員とする生命保険に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 なお、いずれの保険契約も新たに締結し、 他に加入している保険契約はなく、 保険料は年払いであるものとする。

  1. 法人が受け取った医療保険の入院給付金は、 その全額を益金の額に算入する。
  2. 死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、 その全額を資産に計上する。
  3. 給付金受取人が法人で、 解約返戻金相当額のない短期払いの医療保険の支払 保険料は、 その事業年度に支払った保険料の額が被保険者1人当たり30万円以下の場合、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
  4. 死亡保険金受取人が法人で、 最高解約返戻率が65%である定期保険 (保険期間20年) の支払保険料は、 保険期間の前半4割相当期間においては、 その60%相当額を資産に計上し、 残額を損金の額に算入することができる。

🔍 各選択肢の検討


選択肢1

法人が受け取った医療保険の入院給付金は、 その全額を益金の額に算入する。

適切

  • 法人が契約者で給付金受取人である場合、たとえ入院給付金であっても、受け取った給付金は益金(収益)として計上する必要があります。
  • 医療給付金であっても、法人税法上は課税対象(益金)

選択肢2

死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、 その全額を資産に計上する。

適切

  • 死亡保険金の受取人が法人、かつ貯蓄性がある終身保険の場合は、保険料は「資産性あり」として全額を資産(保険積立金)に計上するのが原則。
  • そのため、支払った年の損金にはなりません。

選択肢3

給付金受取人が法人で、 解約返戻金相当額のない短期払いの医療保険の支払保険料は、 その事業年度に支払った保険料の額が被保険者1人当たり30万円以下の場合、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

適切

  • 解約返戻金がない短期の医療保険で、一定の条件(保険料30万円以下/短期払い/損害保険的性格)を満たす場合は、支払時の損金算入が認められます(全額損金)
  • 法人税基本通達などでも取り扱いが明示されており、記述は正確です。

選択肢4

死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が65%である定期保険 (保険期間20年) の支払保険料は、 保険期間の前半4割相当期間においては、 その60%相当額を資産に計上し、 残額を損金の額に算入することができる。

不適切 → 正解

  • この保険は、「最高解約返戻率が50%超~70%以下」の定期保険に該当します。
  • こうした保険は、保険期間全体を通じて、保険料の60%を資産に計上40%を損金に算入する「定額法」が適用されます。
  • 記述のように「前半だけで区分」する方式は誤りです。

✅ 結論:正解は 4

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