[2020年1月] 借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 なお、 本間においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権といい、 同法第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
- 普通借地権の存続期間は20年とされているが、 当事者が契約でこれより長い期間を定めたときは、 その期間とする。
- 普通借地権の当初の存続期間が満了する場合、 借地上に建物が存在しなくても、 借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
- 一般定期借地権において、もっぱら居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、存続期間を30年として設定することができる。
- 一般定期借地権において、 契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書等による書面 (電磁的記録を含む) によってしなければならない。
🔍【問題文の整理】
- 一般定期借地権:借地借家法第22条に基づく「定期借地権」
- 普通借地権:それ以外(=更新が前提となる通常の借地権)
各選択肢の検討
❌ 選択肢1
普通借地権の存続期間は20年とされているが、当事者が契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
🔍【解説】
- 誤りです。
- 借地借家法第3条では、普通借地権の存続期間は最低30年と定められており、これより短い契約は無効で、30年とみなされます。
- 20年という記載が誤りです。
❌ 選択肢2
普通借地権の当初の存続期間が満了する場合、借地上に建物が存在しなくても、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
🔍【解説】
- 誤りです。
- 借地借家法では、借地上に建物が存在することが更新の前提条件です(建物の存在が借地権の目的)。
- 建物がない状態での更新請求は成立しません。
❌ 選択肢3
一般定期借地権において、もっぱら居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、存続期間を30年として設定することができる。
🔍【解説】
- 誤りです。
- 一般定期借地権(第22条)の最低存続期間は50年以上と法律で明記されています。
- 30年というのは**建物譲渡特約付き借地権(第19条)**の最短期間です。
✅ 選択肢4
一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書等による書面 (電磁的記録を含む) によってしなければならない。
🔍【解説】
- 正しいです。
- 借地借家法第22条では、一般定期借地権の成立には以下の条件が必要とされています:
- 存続期間が50年以上
- 契約の更新がないこと
- 建物の築造による期間延長がないこと
- 建物等の買取請求をしないこと
- そしてそれらの条件を明記した**「公正証書等の書面(電磁的記録を含む)」**が必要です。
✅ 以上より、この選択肢が最も適切です。
✅ 結論
選択肢 | 正誤 | 理由 |
---|---|---|
1 | ❌ | 普通借地権の最低期間は30年。20年は誤り。 |
2 | ❌ | 建物がない場合は更新できない。 |
3 | ❌ | 一般定期借地権の期間は50年以上。30年は不可。 |
4 | ✅ 正解 | 条文通りの正確な記述。契約条件+形式要件も合致。 |
正解:選択肢4 ✅
「普通借地権の当初の存続期間が満了する場合、借地上に建物が存在しなくても、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。」これを具体的な例を示して説明
❌ 問題の記述:
普通借地権の当初の存続期間が満了する場合、借地上に建物が存在しなくても、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
これは 誤りです。
理由:借地権の目的は「建物の所有」であり、借地上に建物が存在しない場合、更新は成立しません。
🔍【具体的な例で説明】
例:
田中さん(借地権者)が、地主の鈴木さんから土地を借りて住宅を建てた。
契約期間は30年(普通借地権)。
🕒【30年経過後の状況】
- 田中さんは老朽化した建物を取り壊してしまった。
- 建て替えずにそのまま空き地にしていた。
- そのまま契約満了日を迎えた。
📩【田中さんの主張】
「まだ土地を使いたいので、契約更新をお願いします」
🚫【鈴木さんの回答】
「でも建物はもうないですよね? 目的が達成されていないので、更新には応じません。」
🔍【結論】
借地借家法では、更新を主張するには「建物が現に存在していること」が前提条件です。
したがって:
- 建物が取り壊されていた場合 → 借地契約は終了し、更新は認められません
- 借地権者が一方的に更新を請求しても、それは法的に無効です。
✅ 補足(条文の根拠)
借地借家法第5条(更新等)
借地権の存続期間の満了時に借地上に建物が存在しない場合、借地権は当然に終了し、更新されない。
📝 まとめ
要素 | 内容 |
---|---|
目的 | 借地権は「建物所有」を目的とする |
ポイント | 建物が現存していないと、契約更新は不可 |
結論 | この選択肢は、建物がない状態で更新できると誤認させるため誤り |
コメント