FP2級 公的年金制度における障害給付(障害年金)

FP2級

「障害基礎年金の1級」とは

障害基礎年金の1級」とは、国民年金制度に基づく障害年金の中で最も重度の障害状態に対して支給される年金です。

以下で、具体的に説明します。

✅ 障害基礎年金とは?

  • 国民年金に加入している人(=主に自営業・学生・無職など)が、
  • 病気やけがによって障害の状態になった場合に、
  • 所定の障害等級(1級または2級)に該当すれば支給されます。

✅ 障害基礎年金「1級」の内容

■ 対象となる障害の程度

日常生活のすべてについて、他人の介助が必要な状態。
たとえば:

  • 両目の失明
  • 両下肢の完全麻痺
  • 重度の精神障害で常に介護が必要
  • 寝たきり状態 など

これは、障害認定基準で1級に該当する状態とされています。


支給額(令和6年度/2024年度)

等級年金額(年額)備考
1級約 1,010,400円(=2級の1.25倍)子の加算あり
2級約 808,300円同上

※ 子どもがいる場合は、加算あり(1人目・2人目は各228,700円、3人目以降は76,200円)


✅ 受給要件(重要)

  1. 初診日要件
     障害の原因となった病気・けがの初診日が国民年金加入中または20歳未満であること
  2. 障害認定日要件
     原則として初診日から1年6か月経過した時点で、1級または2級に該当していること
  3. 保険料納付要件(20歳以降):
     初診日の属する月の前々月までの期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付していること(特例あり)

✅ まとめ

障害基礎年金1級は、非常に重い障害で常に介助が必要な人に支給される公的年金です。
年金額は2級よりも高く設定され、子どもがいれば加算もあります。
支給には、初診日要件・障害の程度・保険料納付状況のすべてが満たされている必要があります。

「障害基礎年金2級」とは

障害基礎年金2級」とは、国民年金制度に基づいて支給される障害年金のうち、比較的重度な障害を持つ人が対象の年金です。
以下にわかりやすく整理して説明します。


障害基礎年金2級とは?

  • 日常生活に支障があり、何らかの介助や制限が必要な状態
  • **国民年金加入者(自営業・学生・無職など)**が対象
  • 初診日に国民年金に加入していたか、20歳未満であった人に対して支給されます

支給要件(3つ)

要件内容
① 初診日要件原因となる病気・けがの初診日が国民年金の被保険者期間中または20歳未満であること
② 障害認定日要件初診日から原則1年6か月後に、障害等級2級に該当していること
③ 保険料納付要件初診日の属する月の前々月までの間に、保険料納付済期間・免除期間が3分の2以上あること(特例あり)

✅ 対象となる障害(例)

  • 両眼の視力がそれぞれ0.1以下
  • 両耳の聴力が障害等級に該当するレベルまで低下
  • 両下肢の機能障害(歩行困難など)
  • 統合失調症・うつ病など精神疾患で日常生活に常時支援が必要
  • 知的障害(IQ 35~50程度)など

※「一人での食事・排泄・外出などが困難または制限される」レベルが目安です。


✅ 支給額(2024年度)

内容金額(年額)
基本年金額(2級)約 808,300円
子の加算(1人目・2人目)228,700円
子の加算(3人目以降)76,200円

支給時期と期間

  • 申請が認められれば、原則として障害認定日(初診日から1年6か月後)以降の分が支給
  • 障害の状態が続く限り、65歳まで何度でも更新・再認定可能
  • 原則65歳以降は新規請求不可(ただし、既に受給していれば継続)

まとめ

障害基礎年金2級は、日常生活に相当な支障をきたしている人が対象の年金で、
国民年金加入中に病気・けがになり、所定の条件を満たせば支給されます。
精神疾患や視覚・聴覚・身体の障害など、幅広いケースが対象です。

障害基礎年金の1級と2級の違い

障害基礎年金の1級と2級の違いは、主に以下の3つの観点から整理できます:


✅ 1. 障害の程度(認定基準)の違い

等級認定の目安状態のイメージ
1級他人の介助がなければ日常生活がほとんど送れない状態寝たきり、全介助、両眼失明、重度の認知症など
2級日常生活に著しい制限を受ける状態視覚・聴覚・四肢の障害、統合失調症・うつなどで単独生活が困難

🔹 ポイント:

  • 1級は 「常時介助が必要」なレベル
  • 2級は 「ある程度は自立可能だが、生活に大きな制限あり」

✅ 2. 年金額の違い(2024年度)

等級年金額(年額)
1級1,010,400円(2級の1.25倍)
2級808,300円

※ 子どもがいる場合は子の加算が別途あります(1人目・2人目:各228,700円、3人目以降:76,200円)

✅ 3. 認定の難易度と実際の支給件数

等級支給のハードル支給される割合
1級高い(重度)非常に少ない(全体の1割程度)
2級比較的多い障害基礎年金受給者の9割近くが2級

🔸 多くの障害者は2級からの申請・認定になります。
🔸 精神疾患や発達障害も、重度であれば1級になるケースもありますが、かなり少数です。

✅ まとめ

項目1級2級
障害の程度常時介助が必要日常生活に著しい制限
支給額(年額)約101万円約81万円
支給対象ごく重度の障害重度の障害
子の加算ありあり
認定されやすさ難しい比較的多い

公的年金制度の障害給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

2021年1月問題

  1. 障害等級1級に該当する程度の障害の状態にある者に支給される障害基礎年金
    の額は、障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある者に支給される障害
    基礎年金の額の100分の150に相当する額である。
  2. 障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、
    所定の要件を満たす配偶者を有する場合、 その受給権者に支給される障害厚生
    年金には加給年金額が加算される。
  3. 障害等級3級に該当する程度の障害の状態にある者に支給される障害厚生年金
    の額については、 障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある者に支給さ
    れる障害基礎年金の額の3分の2相当額が最低保障される。
  4. 国民年金の被保険者ではない20歳未満の期間に初診日および障害認定日があ
    り、20歳に達した日において障害等級1級または2級に該当する程度の障害の
    状態にある者には、その者の所得にかかわらず、 障害基礎年金が支給される。

選択肢1:

障害等級1級に該当する程度の障害の状態にある者に支給される障害基礎年金の額は、障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある者に支給される障害基礎年金の額の100分の150に相当する額である。

🔻 誤りです。

  • 障害基礎年金の1級の年金額は「2級の1.25倍(=100分の125)」です。
  • よって、「150%」という表現は誤りです。

✅ 選択肢2:

障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、所定の要件を満たす配偶者を有する場合、その受給権者に支給される障害厚生年金には加給年金額が加算される。

正しい記述です。

  • 障害厚生年金の1級・2級の受給者が、
    • 厚生年金の被保険者期間が20年以上あり、
    • かつ生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、
      加給年金額が支給されます。

✅ 選択肢3:

障害等級3級に該当する程度の障害の状態にある者に支給される障害厚生年金の額については、障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある者に支給される障害基礎年金の額の3分の2相当額が最低保障される。

🔻 誤りです。

  • 障害厚生年金(3級)には、報酬比例部分のみが支給され、最低保障額(一定額)があります(2024年度は約59万円)。
  • 「障害基礎年金の2級の3分の2」という相対的な額ではありません

✅ 選択肢4:

国民年金の被保険者ではない20歳未満の期間に初診日および障害認定日があり、20歳に達した日において障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にある者には、その者の所得にかかわらず、障害基礎年金が支給される。

🔻 誤りです。

  • たとえ20歳未満であっても、障害基礎年金には所得制限があります(前年所得が一定額を超えると支給停止)。
  • よって「所得にかかわらず」という表現が誤り。

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