実際の問題
公的年金制度の障害給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 [2021年9月]
- 障害厚生年金の額を計算する際に、 その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たない場合、 300 月として計算する。
- 国民年金の被保険者ではない20歳未満の期間に初診日および障害認定日があり、20歳に達した日において障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にある者に対しては、その者の前年の所得の額にかかわらず、障害基礎年金が支給される。
- 障害基礎年金の受給権者が、 所定の要件を満たす配偶者を有する場合、 その受給権者に支給される障害基礎年金には、配偶者に係る加算額が加算される。
- 障害手当金の支給を受けようとする者が、同一の傷病により労働者災害補償保険の障害補償給付の支給を受ける場合、 障害手当金と障害補償給付の支給を同時に受けることができる。
各選択肢の解説:
✅ 1. 正しい
障害厚生年金の額を計算する際に、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たない場合、300月として計算する。
- これは 障害厚生年金の報酬比例部分の計算における「最低保障」です。
- 厚生年金の被保険者期間が300月(25年)に満たない場合でも、300月として計算するルールがあります(老齢厚生年金の計算にも共通)。
- よって、正しい記述です。
❌ 2. 誤り
国民年金の被保険者ではない20歳未満の期間に初診日および障害認定日があり、20歳に達した日において障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にある者に対しては、その者の前年の所得の額にかかわらず、障害基礎年金が支給される。
- このケースは「20歳前傷病による障害基礎年金」です。
- この場合、支給には前年所得制限(本人所得による制限)があります。
- 所得が基準額(令和6年度で約486万円)を超えると支給停止になる可能性があります。
- よって、「前年の所得にかかわらず支給される」は誤りです。
❌ 3. 誤り
障害基礎年金の受給権者が、所定の要件を満たす配偶者を有する場合、その受給者に支給される障害基礎年金には、配偶者に係る加算額が加算される。
- 障害基礎年金には 配偶者に対する加算はありません。
- 加算対象は 子(18歳到達年度の末日までの未婚の子等) です。
- 配偶者に対する加算があるのは 障害厚生年金の配偶者加給年金。
- よって、この選択肢は誤りです。
❌ 4. 誤り
障害手当金の支給を受けようとする者が、同一の傷病により労働者災害補償保険の障害補償給付の支給を受ける場合、障害手当金と障害補償給付の支給を同時に受けることができる。
- 障害手当金(厚生年金保険法)は、一時金。
- 同一傷病で労災保険(障害補償給付)と重複して支給を受けることはできません。
- 原則として、「どちらか一方の給付を選ぶ」必要があります。
- よって、誤りです。
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