FP2級 借地借家法

[2020年9月]借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 なお、本間においては、同法第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。

  1. 普通借地権の設定契約において、期間の定めがない場合には、存続期間は50年となる。
  2. 普通借地権の当初の存続期間が満了して更新する場合、 当事者間で更新後の存続期間を更新の日から10年と定めたときは、 更新後の存続期間は更新の日から10年とされる。
  3. 事業用定期借地権等においては、 建物の用途は事業用に限定されているため、法人が従業員向けの社宅として利用する建物の所有を目的として設定することができない。
  4. 事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、 書面によってしなければならないが、 その書面が公正証書である必要はない。

各選択肢の検討


❌ 選択肢1

普通借地権の設定契約において、期間の定めがない場合には、存続期間は50年となる。

🔍【解説】

  • 借地借家法第3条により、期間の定めがない普通借地権の存続期間は30年とされています。
  • 「50年」は、一般定期借地権(第22条)の最低存続期間です。

誤り


❌ 選択肢2

普通借地権の当初の存続期間が満了して更新する場合、当事者間で更新後の存続期間を更新の日から10年と定めたときは、更新後の存続期間は更新の日から10年とされる。

🔍【解説】

  • 借地借家法第4条により、
    • 当事者の合意による更新の場合 → 最短でも20年
    • 法定更新の場合 → 30年
  • よって、10年の合意は無効であり、法定期間に引き直されます。

誤り


✅ 選択肢3(正解)

事業用定期借地権等においては、建物の用途は事業用に限定されているため、法人が従業員向けの社宅として利用する建物の所有を目的として設定することができない。

🔍【解説】

  • 借地借家法第23条による「事業用定期借地権」は、
    • 非住宅用の建物の所有を目的とすることが要件です。
  • 社宅は住宅用途となるため、対象外です。

正しい記述です。


❌ 選択肢4

事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、書面によってしなければならないが、その書面が公正証書である必要はない。

🔍【解説】

  • 借地借家法第23条では、事業用定期借地権の設定契約は、
    ▶️ 公正証書によって契約を締結しなければならないと明記されています。
  • 単なる「書面」では足りず、「公正証書」である必要があります。

明確に誤り


✅【結論】

選択肢判定理由
1❌ 不適切普通借地権の無期間契約は30年が原則
2❌ 不適切更新後の期間は最低20年、10年では無効
3適切住宅用途(社宅)は事業用定期借地権の対象外
4❌ 不適切事業用定期借地権には「公正証書」が必須

✅ 正解:選択肢3


🏠 借地権の主な種類と特徴一覧

種類条文目的建物存続期間契約形式更新・建替その他の特徴
普通借地権第3条制限なし(住宅・事業)初回:30年以上更新:20年以上(合意)or 30年以上(法定)書面 or 口頭も可あり最も一般的な借地権。更新が前提。
一般定期借地権第22条制限なし50年以上公正証書なし契約終了後、原則更地返還。
事業用定期借地権第23条非住宅用10年以上30年未満公正証書なし店舗・事務所など事業用のみ。住宅は不可。
建物譲渡特約付借地権第19条制限なし最短30年以上書面(特約必須)あり(譲渡条件)建物譲渡で地主が土地を取得できる特約付き。
一時使用目的の借地権法定外原則問わず数か月〜数年程度特段の形式なしなし更新不可。小屋、工事など臨時用途。

📝 補足ポイント

  • 普通借地権
    • 借地借家法の基本形。契約更新や建替承諾請求権があります。
    • 例えば住宅用地や事務所など、幅広い用途に対応。
  • 一般定期借地権
    • 建物の種類や用途に制限なし。
    • 更新なしで確実に土地を取り戻したい地主に好まれる。
    • 公正証書による契約が必須
  • 事業用定期借地権
    • 居住用不可(社宅・寮もNG)
    • 店舗や倉庫など事業用に限定され、更新不可。
    • 公正証書での契約必須
  • 建物譲渡特約付借地権
    • 借地人が建物を地主に譲渡すれば、地主が土地も取り戻せる制度。
    • 更新ありだが、特約の発動が条件。
  • 一時使用目的の借地
    • 借地借家法の適用外。
    • 口約束でも成立し、権利の保護は限定的。

✅ 試験対策まとめ(覚え方のコツ)

  • 普通=基本・更新あり
  • 定期=原則「更新なし」+「期間限定」
  • 一般定期50年以上
  • 事業用定期10年以上30年未満公正証書住宅不可
  • 建物譲渡特約付=更新あり+建物譲渡が条件
  • 一時使用=臨時・更新なし・借地借家法の保護外

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